睡眠障害

睡眠障害

睡眠障害の定義

睡眠障害とは、十分な睡眠をとることができない不眠症や、逆に眠り過ぎてしまう過眠症などの睡眠異常や、睡眠時に本人も自覚なく歩きまわったりするいわゆる夢遊病などの睡眠行動の障害、睡眠時間が不規則になってしまう睡眠リズム障害などの総称です。

代表的な睡眠障害には、心因性の不眠・過眠の他にも「睡眠時無呼吸症候群」や「ナルコレプシー」、「レストレスレッグ症候群」などがあり、適切な睡眠がとれない、睡眠の質が悪くなるなどの症状が見られます。

睡眠障害の原因は、寝ている間に気道が塞がってしまったり、脳の神経伝達物質の機能が低下するなどの身体的な要因もあれば、ストレスや精神疾患などの精神的な要因もあります。

抑うつ状態の人は入眠困難中途覚醒といった症状を示すことが多く、睡眠障害を訴えて病院を訪れたところ、うつ病が判明するというケースもあります。

睡眠障害の関連キーワード

  1. 睡眠異常
  2. 睡眠行動の障害
  3. 睡眠リズム障害
  4. 早朝覚醒
  5. 入眠困難
  6. 中途覚醒

睡眠障害の補足ポイント

精神的要因による睡眠障害を見ていくと、うつ病をはじめとして、統合失調症や不安障害、認知症など多くの精神疾患で睡眠障害の併発が見られます。
精神疾患によって睡眠障害のタイプも異なることが分かってきており、例えばうつ病では早朝覚醒が顕著に見られます。

夜は寝ようと思ってもなかなか寝付けず(入眠困難)、うとうとしたと思うと夜中に目が覚め(中途覚醒)、場合によっては再び寝付けずそのまま朝を迎えてしまうといったことが多いのです。

また、双極性障害のうつ病相では、不眠ではなく過眠症状が見られることがあったり、統合失調症ではノンレム睡眠が減少して深く眠ることができなくなってしまうなどの特徴が見られます。

精神的要因だけではなく、身体的要因が大きく関係する睡眠障害もあります。
睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が止まってたびたび目が覚めてしまうため、十分な睡眠をとることができず日中の眠気に悩まされる疾患であり、中高年の肥満型の男性によく見られます。

その原因としては、物理的に気道が塞がってしまうタイプと、呼吸する指令が脳からでなくなってしまうタイプと、その両方からなるタイプに大別されます。

ナルコレプシーは、日中突然に耐えがたい眠気に襲われ、歩行中などでも急に眠ってしまう疾患で、居眠り病とも言われます。

感情が昂ぶると全身の力が抜ける情動性脱力発作や、入眠時の幻覚、金縛り状態などを伴うことが多いです。
原因は明確にされていませんが、遺伝的要因や脳内物質などの神経学的要因の影響が大きいようです。

レストレスレッグ症候群は、むずむず脚症候群とも言われるように、脚に虫がはうような感覚を覚え、脚を動かしてこの違和感を消そうとすることなどにより、十分な睡眠がとれなくなってしまう疾患です。
これも脳神経学的な要因によると考えられています。

MEMO

睡眠障害の治療法・支援法としては、薬物療法や認知行動療法が挙げられます。

認知行動療法は薬物療法と比べて安全性が高く、有効性も示されていることから、不眠障害に対する治療的支援の第一選択になると米国では位置づけられています。

日本では、不眠障害に対する認知行動療法を実施できる人材が限られていることもあり、薬物療法が治療の主体となることが多いという現状があります。

睡眠薬は、心理療法よりも速効性が期待できるというメリットもありますので、薬剤による医学的な面からの治療を行いながら、認知行動療法で心理的な支援もしていくような、相補的なアプローチが有効です。