精神分析の歴史

精神分析

精神分析の歴史について

精神分析はオーストリアの神経科医・精神科医であるフロイト,S.によって創始されました。

フロイトはもともとヤツメウナギを用いて神経学の研究を行っており、大学教授の道を志していましたが、彼がユダヤ人であり出世が難しいこと、また結婚を控えているといった経済的な理由もあって1886年にウィーンで開業をしました。

1885年頃から、彼はフランスでシャルコー,J.M.やリエボー,A.A.、ベルネーム,H.M.から催眠について学んでいましたが、催眠療法には限界があると考え、患者をカウチに横たわらせて頭に浮かぶことを自由に語らせる自由連想法を考え出しました。
その後自由連想法は、精神分析における基本的な技法として確立されます。

フロイトはブロイアーとの共著である『ヒステリー研究』の中で、無意識や抑圧された思考の言語化の重要性について述べています。
この本を著した翌年の1896年、「ヒステリーの病因について」という論文の中で、初めて精神分析という言葉が使われています。

精神分析の歴史の関連キーワード

  1. フロイト,S.
  2. 自由連想法
  3. 無意識
  4. 自我

精神分析の歴史の補足ポイント

精神分析のキーワードとしては、自由連想法、無意識自我などが挙げられますが、これらはフロイト一人で考え出された概念かというと、必ずしもそうではないようです。

言葉や表現は違うとしても無意識や自我について考察を行った人はフロイト以前にもおり、そうした考えを体系的に理論化したのがフロイトだったのです。

例えば、知覚研究で有名なH.L.F.ヘルムホルツらの論じたエネルギー保存の法則は、精神分析における心的エネルギーの考え方に影響を及ぼしています。

また無意識という言葉は、哲学者のK.R.E.ハルトマンが1869年に著した『無意識の哲学』という書の中でフロイトに先駆けて用いられています。

フロイトの理論では、無意識の中の受け入れがたい欲求は抑圧され、そのため神経症症状が生じると考えられています。
これと類似の考え方としてはA.ショーペンハウエルの説があります。
彼は「反発性」の観念が意識に入ってくると狂気を生ずることがあり、これに対して意志は抵抗すると述べていたと言われます。

またフロイトは人間が持つ本能と動物の持つ本能とは異なるものではなく、人間だけが高等な生き物であるとは考えませんでした。
こうした考えについて当時は多くの反発を買いましたが、A.ショーペンハウエルやF.ニーチェも人間の本能についてフロイトに近い見解をすでに発表していました。

精神分析の理論は、基礎心理学や実証科学の立場からは批判されがちですが、20世紀半ばには特にアメリカで盛んとなり、精神分析的な考えが精神医学の主流となった時期もありました。

精神分析は心理学や精神医学に与えた影響も大きなものでしたが、哲学や近代西洋文化に与えた影響もはかり知れないものがあります。

MEMO

編集中