行動主義の歴史について
行動主義とは、心理学における方法論の1つです。
20世紀前半の心理学においては、ゲシュタルト心理学と精神分析と共に心理学の三大潮流と言われました。
19世紀から20世紀初頭の心理学においては、意識と主観を中心に研究が行われていました。
しかし1913年にワトソン,J.B.が行動主義を展開し、自然科学としての心理学は直接的に観察可能な行動を研究対象とし、客観的手法に基づき、刺激と反応の関係について明らかにするべきという考え方が広まっていきます。
行動主義が現れた背景には、1つはそれまでの機能主義心理学の限界に対する反省がありました。
また、ダーウィンの進化論やパヴロフの条件反射説そのものが与えた影響もあります。
近接科学領域の進歩に対して、心理学も自然科学の一部として方法論を共有していこうとワトソンは強く考えていたのです。
行動主義の歴史の関連キーワード
- 機能主義
- 行動と客観
- 刺激と反応
- 新行動主義
- 媒介変数
行動主義の歴史の補足ポイント
ワトソンの古典的行動主義の後、1930年代に入るとハル、トールマン、ガスリー、スキナーらの新行動主義が展開します。
新行動主義においては、ワトソンの刺激と反応の関係に、媒介変数を加えた研究が行われました。
ワトソンは筋運動感覚に特に注目しており、動物実験において運動感覚を対象とした研究を行ったことから末梢主義とも言われます。
一方、新行動主義のトールマンは、筋運動などの微視的行動よりも巨視的行動を重視しました。
巨視的行動とは、人間が目的を持って行う行動のことを指し、この研究の中で媒介変数として認知などの概念を取り入れました。
新行動主義の中でも、あくまで行動を研究の主体とした人もいれば、トールマンのように認知的概念を取り入れた人もいました。
こうした研究者間で行われた論争が、後に認知心理学にもつながっていきます。
スキナー,B.F.も新行動主義の研究者の一人です。
新行動主義は学習に関する研究を行ったことが共通点として挙げられますが、スキナーもオペラント行動の研究を通じて学習理論の発展に大きく寄与しています。
また彼の研究は、後に行動療法や行動分析につながっていきました。
新行動主義者の中には認知的概念を取り入れた研究者がいるように、行動主義だけでは人の心理過程を十分に把握することができないという批判も出てくるようになります。
反行動主義的な考え方が心理学の中から出てくるとともに、他の科学分野の進歩の影響を受けて、認知心理学などの人の心に関する新たなモデルが再構築されるようになっていきます。
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