自己開示の定義
自己開示とは、自分の主観的世界や自分に関する情報について、他者に言語を介して伝える行為です。
何の意図も無しに、肯定的な面も否定的な面も含めて、ありのままの自分の姿を伝達するという点が特徴です。
実際のコミュニケーションにおいては、返報性の原理が働くことから、自己開示によりお互いの情報が交換され、自己理解および他者理解が進みます。
つまり自己開示は、相手との親密性を高めたり、コミュニケーションを活性化したりするために必要なものと考えられるでしょう。
対人不安や対人ストレスの高い人、コミュニケーションの問題を抱える人などに対し、認知行動療法の1つであるソーシャルスキルトレーニングが用いられることがありますが、その中で、自己開示の方法を訓練していくという手法が用いられることも多くあります。
自己開示の関連キーワード
- コミュニケーション
- ソーシャルスキルトレーニング
- 自己呈示
自己開示の補足ポイント
自己開示と似て非なるものが自己呈示です。
混同しやすいので、ここで確認しておきましょう。
肯定的な面も否定的な面も表出する自己開示に対し、他者からの好意的評価や社会的承認、物質的報酬などの利益を得ようとうする意図のもと、自分に不利益にならないような情報だけを相手に開示することを、自己呈示と言います。
さらに、自己開示と異なる点として、言語的なコミュニケーションのみならず、ノンバーバルなコミュニケーションも含むのが自己呈示の特徴です。
自己呈示は、いわば、印象操作の1つと言えますね。
しかし、それが悪いことというわけではありません。
自分の意図や目的を達成したり、コミュケーションを促進するために、必要な技能でもあります。
また、自己呈示には、アイデンティティや自尊心などを維持、高揚する機能もあります。
以上のように、自己開示と自己呈示は、共にコミュニケーションには重要な技能ですが、実際にはかなり異なる面を持つので、語句説明で出題された場合には、違いを踏まえて解答にするようにしましょう。
自己開示の中でも、特に心の奥深くの内面を開示することを告白と言います。
ペネベイカー, J. W.の調査によると、大きなショックを受けたり、傷ついたりしたなどの外傷体験を告白すると、開示をした人の心身の健康度が向上し、開示をしないで抑制すると健康度が低下するとのことです。
また、誰かに自己開示をして話を聞いてもらうだけではなく、自分の体験を筆記するだけでも健康度が向上することが示唆されています。
自己開示という行為は、自分のことを語ることを通じて、自分の考えや気持ちを整理する効果があるからだと考えられます。