短期記憶

短期記憶

短期記憶の定義

短期記憶と長期記憶は共に記憶の二重貯蔵モデルにおける概念です。

感覚器が受け取る情報を、すべて一時的に保持する記憶を感覚記憶と言いますが、そこから、リハーサルによって数分から数十分程度保持される貯蔵庫に送られるものが短期記憶です。

そして、短期記憶を蓄える貯蔵庫を短期記憶貯蔵(STS)と呼びます。

短期記憶は、容量が7±2のチャンク(意味のまとまり)とされており、リハーサルやコーディングがされないと忘却されるのが特徴です。
消失する時間は15~30秒とされています。

リハーサルとは、頭の中で復唱したり、反復学習することで、少しの間覚えておくための「維持リハーサル」と、短期記憶から長期記憶に記憶を転送するために行われる「精緻化リハーサル」があります。

コーディングというのは、グループ化を行ったり、視覚イメージと結びつけたりすることで、一般的に認知の体制化や符号化の作業として理解されています。

短期記憶の関連キーワード

  1. 記憶の二重貯蔵モデル
  2. 感覚記憶
  3. 短期記憶貯蔵
  4. 7±2チャンク
  5. リハーサル
  6. コーディング

短期記憶の補足ポイント

情報はまず感覚登録器に一時的に保持され、そこで注意などにより選択された情報が短期貯蔵庫に入力され、一定期間保持されるという流れになっています。

目や耳などの感覚器官で受け取った感覚を、「とりあえず」一旦保持するための記憶である感覚記憶についても、ここで確認しておきましょう。

目や耳から入る情報をすべて記憶していては、すさまじい容量となり、大変なことになってしまいます。
そのため、特に注意をひかなかったものや、あまり重要ではないと判断されたものの記憶はすぐに消えてしまうのです。

視覚情報の感覚記憶をアイコニック・メモリーと言います。
この持続時間は約1秒以内とされています。
聴覚情報の感覚記憶はエコイック・メモリーと言います。

実験から、エコイック・メモリーの持続時間はアイコニック・メモリーより長く、約5秒くらいは持続するということがわかっています。

 
入っては消えていく膨大な感覚記憶の中、意味がある情報だと選択されたものだけが、短期記憶として残るのです。

感覚記憶は「記憶」とつくものの、通常、記憶と呼ばれるものとは異なり、一瞬で消えてしまうので想起することはできません。

記憶というよりは、単に感覚器に伝わる刺激とイメージした方がよいかもしれませんね。

MEMO

短期記憶の容量のことを記憶範囲といい、記憶範囲課題を用いて測定することができます。
この課題では、数字や文字、単語が覚えるべき項目として使用され、それらの項目を提示された順序で正しく思い出して回答できた数が記憶範囲となります。

前述のように短期記憶の容量は7±2と考えられていますが、覚えるべき内容を記憶する際に、別の情報が入るなど何らかの妨害がある場合は、記憶範囲はもっと少なくなってしまいます。