リカレント教育の定義
リカレントとは、循環する、反復するといった意味を持つ言葉です。
そしてリカレント教育とは、学校を卒業して社会に出てからも再び教育を受けることができるシステムのことを言います。
学校を出て一度は就職したけれど、再び勉強をしたり何かを学んだりしたいと思う人も少なくないはずです。
新しいことを学び、それまでとはまったく違った生き方をするようになる人もいるでしょう。
しかし、一度生徒・学生という立場から抜け出てしまうと、働きながら勉強をするのは時間的・体力的に難しい上、仕事を辞めれば経済的に苦しくなってしまうなど何かを学びたくても様々な制約が出てきます。
そうした時、会社や家族などを含めて社会が、再教育を受けることに対して理解を示してくれるかどうかによっても、学習のやり易さが変わってきます。
リカレント教育の関連キーワード
- 循環・反復
- 再教育
- 生涯学習
リカレント教育の補足ポイント
リカレント教育という言葉は、1969年に開かれたヨーロッパ文部大臣会議の中で使われたと言われています。
その後、1970年代に経済協力開発機構(OECD)でこの概念が特に注目され、生涯学習を実現していくことの重要性が強調されるようになりました。
リカレント教育のシステムは、はじめはイギリスやアメリカなど主に欧米で浸透していきました。
そこから少し遅れて、次第に日本でもこうしたシステムを構築することの重要性が認識されるようになってきて、生涯学習が大切だという考えが普及してきています。
リカレント教育の具体例としては、放送大学の設置、大学への社会人入学や編入枠の設置と拡大、夜間大学院や通信教育システムの充実、科目等履修生や聴講生の枠を設けることなどが挙げられます。
一般の人、地域の人を対象とした大学の公開講座が増えつつあることもリカレント教育が普及した成果と言えます。
リカレント教育には、人間誰もが、学びたいことを学ぶ機会を生涯を通じて得られるべきであるという考え方が基本になっています。
日本では、平成18年の改正教育基本法において、生涯学習社会の実現に努めることが規定されています。
文部科学省は、生涯学習社会の構築が必要な理由として以下の3つを挙げています。
1つ目は、社会・経済の変化に対応可能な人材を育成できる環境を整備することが、個人だけでなく社会・経済の発展につながるためです。
2つ目は、社会の成熟化に伴い、心の豊かさや生きがいを高めるための学習需要が増加しているためです。
3つ目は、最終学歴だけでなく、人がそれまでに学んできたこと全体を適切に評価する社会を築くことで、学歴社会の弊害を是正する必要があることです。
編集中