非行の定義
非行とは、狭義には少年の犯罪のことですが、犯罪だけではなく、社会的な規範や道徳に反する行為全般を含めて捉えることが一般的です。
また、校内暴力や家庭内暴力も非行に含むと考えられています。
非行や犯罪は、他者に被害を与える面がある一方、本人たちも傷つく面を持ち合わせています。
なお少年とは、少年法では20歳に満たない者を指し、児童福祉法では小学生から満18歳までの者を指し、いずれも男女を含みます。
1948年に公布された少年法では、犯罪少年、触法少年と虞犯少年を対象として、その保護事件と刑事事件の手続きについて定められています。
ここで述べられている犯罪少年とは、犯罪を行なった14歳以上20歳未満の少年であり、触法少年とは、刑罰法令に触れる行為をした14歳未満の少年です。
刑法により、14歳未満の少年には刑事責任を問えませんが、児童福祉法に基づく措置を取ることができます。
虞犯少年とは、まだ罪は犯していないが、パーソナリティや環境の面から見て、将来罪を犯すおそれのある少年のことです。
少年たちはまだ未成熟であり、これから更生する可能性があるため、処罰を行うよりも保護や教育による処遇を行い、社会の一員として立ち直らせるように努めるべきだとする、保護主義という理念が少年法の基本にあります。
非行の関連キーワード
- 少年法
- 犯罪少年
- 触法少年
- 虞犯少年
- 家庭裁判所
- 動機づけ面接
非行の補足ポイント
触法少年や14歳未満の虞犯少年が事件を起こした場合、児童相談所での調査を経て、状況により家庭裁判所や児童自立支援施設等への送致が行われます。
犯罪少年による事件の場合、警察や検察庁による捜査の後、全件が家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所では、家庭裁判所調査官が調査し、裁判官が審判を行い、必要に応じて少年鑑別所で少年は心身の鑑別を受けます。
審判においては、非行事実と要保護性が審理されます。
そして、少年院や児童自立支援施設等への送致、保護観察所での保護処分、審判不開始、不処分、都道府県知事・児童相談所長送致、検察官送致などが行われます。
公認心理師などの心理職は、非行に関してどのような支援ができるでしょうか。
学校での非行については、スクールカウンセラーとして、教員や保護者と連携して生徒を支援することができます。
非行が起きてからの相談だけではなく、非行を予防するために、生徒が相談しやすい環境を整えたり、教員に向けて心理学に基づいた対応の工夫を伝えたりするのも大切なことです。
その他、家庭裁判所の調査官として、または少年院や児童自立支援施設での心理専門職として、心理アセスメントやカウンセリング、心理教育的な介入に携わることもできます。
こうした機関での支援において、少年たちが自発的にカウンセリングを受けたいと言うことはあまりありません。
そのため、カウンセリングに対する動機づけが低いことの方が多いため、動機づけ面接が実施されることがあります。
動機づけ面接は、被面接者の中にある準備性、両価性、抵抗の感情に着目して、対話を通じて行動変容を促す面接法であり、被面接者の動機づけを高める上で有効な方法と言われています。
上記以外にも、クリニックやカウンセリングルームに、少年たちが相談に訪れることもあれば、その家族が来談することもあります。
非行の中でも家庭内暴力に関する相談で、暴力がエスカレートしたと判断されるときには、危機介入を行なったり、社会資源の情報提供を行ったりするなどの、ソーシャルワーク的な支援が求められる場合があります。
未成年者の飲酒や喫煙、そして犯罪行為や触法行為に至る前段階としての夜遊び、家出や怠学などは、不良行為として警察により明示されています。
非行や不良行為の背景には、少年たちが成長するがゆえに生じる、アイデンティティを確立したいという思いもあるのでしょう。
行動と感情との両面での自律を獲得するため、親や社会などに代表される既成の規範にあえて挑んでいくという、反抗期の精神の現れでもあると言えます。