介護保険

介護保険

介護保険の定義

介護保険は、介護保険法で定められている社会保険制度です。
近年、日本は高齢者人口が増加するに伴い、介護や支援を要する高齢者が増加し、介護期間も長期化しています。
その一方で、介護を担う家族をめぐる状況も大きく変化してきています。

 
そうした変化に対応するため、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとして、1997年に介護保険法が成立し、2000年に施行されました。

介護保険は40歳以上の国民全員が強制加入することになっており、仕事に就いていないとしても、基本的には保険料の納付義務が発生します。
介護保険の保険者は全国の市町村および特別区(東京23区)であり、被保険者は介護保険加入者です。
そして、被保険者は65歳以上の第一号被保険者と、40歳以上65歳未満の第二号被保険者に分かれます。

 
介護保険の給付の流れとしては、まず被保険者が市町村に申請し、認定調査によって要支援状態(2段階)または要介護状態(5段階)と認定されます。
その後、要支援者に対しては予防給付が、要介護者に対しては介護給付が開始されます。

第一号被保険者については、要介護となった場合はその原因にかかわらず介護給付が行われますが、第二号被保険者は、16の特定疾病により要介護となった場合に限って給付を受けることができます。

 
介護保険制度における給付には、リハビリテーション施設等でケアを受ける施設サービスや、訪問看護などの居宅サービスがあります。
どのようなサービスを組み合わせるとよいかは、利用者の状況に応じてケアマネージャーがケアプランを作成し、利用者やその家族に提案をしてくれます。

介護保険の関連キーワード

  1. 介護保険法
  2. 要支援
  3. 要介護
  4. 予防給付
  5. 介護給付
  6. 認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)
  7. 地域包括ケアシステム

介護保険の補足ポイント

高齢者全般の福祉に関する法律としては1963年に施行された老人福祉法があり、高齢者が健康を維持し、安定した生活を送れることを目的に定められています。
この法律では、国や地方公共団体が、高齢者の福祉を増進する責務を有すると規定されています。
老人福祉法で規定される老人福祉施設には、デイサービスセンター、養護老人ホーム、老人福祉センターなどがあります。

認知症患者の数は近年増加しており、介護保険サービスを受ける高齢者の中には認知症を患っている人もいます。
日本では2015年1月に、認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)が関係府省庁共同で策定されました。

このプランでは、認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指すことが目的に掲げられています。

 
新オレンジプランでは以下の7つの視点から施策を推進すると述べられています。
1つ目は認知症に関する情報の普及・啓発、2つ目は適時・適切な医療・介護等の提供、3つ目は若年性認知症施策の強化、4つ目は認知症の人の介護者への支援、5つ目は認知症の人を含む高齢者にやさしい地域作り、6つ目は認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデルなどの研究開発とその普及の推進、7つ目は認知症の人やその家族の視点の重視です。

認知症の人の家族や介護者の視点はこれまではあまり注目されないことが多かったものの、介護を考えるにあたって非常に重要な点です。

 
また、医療・介護・介護予防・住まい・生活支援を、一体的に提供する仕組みとして、地域包括ケアシステムが、2011年の介護保険法改正により法的に位置づけられています。

2025年には、いわゆる団塊の世代が75歳以上となります。
その時期に向けて、医療・福祉・看護・心理などさまざまな領域の専門家が連携し、要支援者、要介護者、高齢者やその家族、そして地域が力を合わせて、暮らしやすい環境づくりをする取り組みが、国の施策として行われています。

MEMO

高齢者福祉の領域では、医療や福祉サービスの充実が優先されることが多いため、心理職としてこの分野で活躍している人はまだ少ないと言われています。

しかし、利用者の心理アセスメントや相談援助、利用者の家族や施設スタッフに対するメンタルヘルスケア等に対するニーズも高まっており、国家資格である公認心理師がこの分野でさらに活躍することが期待されています。