ビッグファイブの定義
ビッグファイブとは、ゴールドバーグ,L.R.が提唱したパーソナリティの特性論で、人間が持つさまざまな性格は5つの要素の組み合わせで構成されるとするものです。「特性5因子論」とも呼ばれます。
その5つの因子とは、「神経症傾向(N)」「外向性(E)」「経験への開放性(O)」「協調性(A)」「誠実性(C)」です。
神経症傾向は、環境刺激やストレッサーに対する敏感さ、不安や緊張の強さを表すものです。
外向性は、社交性や活動性、積極性を表します。
経験への開放性とは、知的好奇心の強さ、想像力、新しいものへの親和性を表すものです。
協調性は、利他性や共感性、優しさなどを表すものです。
誠実性は、自己統制力や達成への意志、真面目さ、責任感の強さを表すものです。
さまざまな研究から、ビッグファイブというこの5つの特性は、文化差・民族差を越えた普遍性を持つものとされています。
ビッグファイブの関連キーワード
- ゴールドバーグ,L.R.
- 特性5因子(神経症傾向・外向性・解放性・協調性・誠実性)
- 特性論
- オルポート,G.W.
ビッグファイブの補足ポイント
パーソナリティ理論は「特性論」と「類型論」とに大別されます。
特性論とは、個人の一貫した行動傾向を「特性」と呼び、いくつかの特性が組み合わさって人間の性格は作り上げられるという考え方です。
類型論とは、多様に存在する性格を、いくつかのタイプに分類し、個人の全体像として捉えようとする考え方です。
1980年代に入るまで、多様なパーソナリティ理論が提唱されましたが、この特性論の立場をとる研究者として有名なのが、オールポート,G.W.とキャッテル,R.B.です。
オールポートは、人それぞれで比較のできない、個人が独自に持つ特性を「個人特性」、同一文化の中で共通性が認められ、その量を相互比較できるものを「共通特性」と定義しました。
また、個人特性と共通特性をプロフィールというグラフで描く、サイコグラフを提唱しました。
キャッテルは、因子分析を用いた研究方法を、性格心理学の分野に取り入れたことでも有名な研究者です。
彼は、「個人特性」と「共通特性」に基づき、外から観察される「表面特性」だけでなく、その背後にある「根源特性」を因子分析により探ろうとしました。
この根源特性を基に、「16PF」という性格検査が作成されています。
1980年代以降、人間に最も普遍的で重要と思われる特性を特定していこうという動向が強くなっていきます。
こうした流れの中、ゴールドバーグがこれまでのパーソナリティ理論をまとめ、ビッグファイブが誕生することになったのです。
ビッグ・ファイブは特性論です。類型論ではありません。血液型占いのようにタイプ別に考えるのが類型論。類型論だと中間タイプやどれにも当てはまるタイプなどが出てきてしまうことがあります。
一方で、大まかな分類ではなく、多くの観点から人をとらえるのが特性論です。