適性処遇交互作用

適性処遇交互作用

適性処遇交互作用の定義

学習者の適性と処遇が互いに影響を与え、学習成績を規定するという関係性を表す概念を適性処遇交互作用と言います。

これは、クロンバック,L.J.により提唱されました。
言い換えれば、学習者の適性の違いによって教授方法の効果が異なるということを示しています。

ここでいう適性とは、その学習遂行に対し、適切に機能すると考えられる学習者の内的要因を指します。
具体的には、学力や既有知識・性格・態度・興味・感心・学習スタイルなどが挙げられます。

一方、処遇は、学習に対する操作としての、さまざまな教授方法を指します。
例えば、指導の手法・課題・かかわり方・カリキュラム・学習環境などが挙げられます。

交互作用とありますが、学習者の適性の水準の違いによって、特定の教授方法が成績に与える影響が異なり、また、その逆も言えるということを示しています。

つまり、適性を要因1、処遇を要因2、学習成績を従属変数として、2要因の分散分析を行った際に、交互作用が見られたという結果を示すということです。

適性処遇交互作用の関連キーワード

  1. クロンバック,L.J.
  2. 適性
  3. 処遇
  4. 交互作用
  5. 分散分析
  6. 完全学習理論

適性処遇交互作用の補足ポイント

学力をすべての子どもに身につけさせるためにはどうすればよいのかということに関する理論として完全学習理論というものがあります。
しかし、学校などでは、集団学習を組織するためには、どうしても1つの方法や速度、形態をとらざるを得ません。
それについていけない子どもがいても仕方ないということになります。
 

そこで、できる限り学習者個人の学習傾向を把握し、一人ひとりに適した学習を組織することで、すべての子どもに学習効果を得ようとする考え方が完全学習理論です。
適性処遇交互作用の考え方は、完全学習理論の考え方の核心にあるものです。
 

さて、子どもにあった学習を追求していく必要性があるということですが、先にも挙げたジレンマをどう乗り越えるかという点が現場における実践的な課題であります。
クラス全員それぞれに適した学習を組織することは現実的には不可能だということを、どう乗り越えるのかということです。
これは学校の理想と現実の矛盾するところです。
すべての子どもに学力保障をすると掲げても、現実的には非常に難しいことでしょう。

解決の方法として、1つは授業外の時間を利用する方法、つまり、補習をしたり、宿題を出したりする方法ですが、それでも限界があります。
 

次に、習熟度別クラスではなく処遇別クラスを設定することが考えられます。
これが一番筋が通っているようではありますが、実際に行おうとすると教師が今の何倍も必要となってきます。

もしくは、処遇の類型化を進め、より多くの学習者が適していると考えられる処遇を選択する方法です。
これにさっきの処遇別クラスを縮小して組み合わせると効果が出るのではないかという考えもあるようです。

公認心理師試験対策 確認問題

ある研究者は、学習者の適性(高群・低群)と教授方法(方法A・方法B)が学習成績に与える影響を検討するため、2要因の分散分析を行った。
その結果、適性と教授方法の交互作用が有意であった。
この結果の解釈として最も適切なものを1つ選びなさい。

①学習成績は教授方法の違いによってのみ決まり、学習者の適性は影響しない。
②学習者の適性が高いほど、どの教授方法においても同程度に学習成績が高くなる。
③教授方法Aは、学習者の適性に関係なく、常に教授方法Bよりも効果が高い。
④教授方法の効果は学習者の適性とは独立しており、両者は互いに影響しない。
⑤教授方法の効果は学習者の適性によって異なり、両者の組み合わせによって学習成績が変化する。

【解答】

適性処遇交互作用とは、学習者の適性と教授方法の組み合わせによって、学習成果が異なるという関係を示す概念です。
本問題では、適性(高群・低群)と教授方法(方法A・方法B)を要因とした2要因分散分析において交互作用が有意であると示されています。

交互作用が有意である場合、一方の要因の効果がもう一方の要因の水準によって変化することを意味します。
したがって、教授方法の効果は学習者の適性によって異なると解釈するのが適切です。