ユング,C.G.について
ユング,C.G.(カール・グスタフ・ユング)は、スイスの精神科医で分析心理学を創始した人物であり、父親は牧師でした。
ユングはスイスのバーゼル大学で医学を学んだあと、フロイト,S.のもとで精神分析を学びます。
当初はフロイトの一番弟子のような存在となり、1910年に創設された国際精神分析学会の初代会長にまでなります。
しかし、次第にフロイトとの意見の相違が明らかになり、ユングは精神分析を離れることとなります。
そして1930年頃に分析心理学を確立し、1948年にユング研究所を設立しました。
フロイトが主に神経症の患者を対象に治療を行ったのに対して、ユングは統合失調症患者の治療を多く行っていたので、このことも二人の理論の相違につながったと考えられます。
理論的な違いとしては、フロイトがリビドーを性的なエネルギーとして限定的に捉えていたのに対して、ユングはより広義の心的エネルギーとして捉えました。
また、無意識の捉え方についてもフロイトがあくまで個人的なものとして考えたのに対して、ユングは個人的無意識だけではなく集合的無意識が存在すると考えます。
ユングの理論としては向性理論(タイプ論)が有名で、内向・外向といったタイプごとにパーソナリティを類型化する考え方が広く知られています。
ユング,C.G.の関連キーワード
- 分析心理学
- 個人的無意識
- 集合的無意識
- 向性理論(タイプ論)
- 個性化過程
ユング,C.G.の補足ポイント
内向・外向という言葉は現在では一般的にも広く知られる言葉になっています。
ユングは向性理論を発表した後、さらに思考・感情・感覚・直観という4つの心理的機能を追加しました。
これは内向的思考タイプ・外向的思考タイプのような組み合わせがあり、計8種類のタイプが想定されています。
思考タイプの人はその他の機能を持っていないわけではなく、4つの中で思考機能が最もよく発達していると考えます。
ユングはこうした類型について、クライエントをただ分類するために使うのではなく、どの機能が発達しているか、未分化な機能は何かを見出すことでクライエントをよく理解するために用いるべきだと述べています。
私たちが自分について理解しようとする際にも、自分がどんなタイプに分類されるかだけではなく、どの機能がよく働いているか、苦手な部分は何かと丁寧にみていくと、自己理解の助けとなりそうです。
ユングは深層心理学の観点から、人間の自己実現についても研究しました。
人がその人らしさを確立し、自律した人間となっていくことが自己実現と考え、これを個性化過程として捉えています。