ロールシャッハ,H.

ロールシャッハ

ロールシャッハ,H.について

ロールシャッハ,H.は、スイスのチューリッヒに生まれた精神科医で、投影法心理検査のロールシャッハ・テストを考案したことで有名です。

彼の父親は絵画教師であり、ロールシャッハ自身も幼いころから絵を描くことが好きでした。
インクの染みで絵を作る遊びが好きだったため、学校の友達からはドイツ語でインクの染みを意味する「クレックス」と呼ばれていたそうです。

チューリッヒ大学でブロイラー,E.から医学を学び、フロイト,S.やユング,C.G.らの影響も受けています。

1911年頃には既にインク・ブロットテストを用いて研究を行っていましたが、その後数年間はインク・ブロットテストよりも精神分析の研究に集中していました。

1912年に、「反射幻覚とその類似現象について」という論文で医学博士の学位を取得します。
学位論文のテーマからも分かるように、ロールシャッハは知覚・感覚について大きな関心を抱いていました。

その後インク・ブロットテストの研究を再開し、1921年6月に著書『精神診断学』でロールシャッハ・テストを公表します。
しかし、ロールシャッハ自身はその翌年、1922年4月2日に腹膜炎のため37歳の若さで亡くなりました。

ロールシャッハ,H.の関連キーワード

  1. 投影法
  2. ロールシャッハ・テスト
  3. 精神分析
  4. 包括システム
  5. エビデンス

ロールシャッハ,H.の補足ポイント

絵を描くことと、医学を学び医師としての仕事をすることはまったく別物のようにも思えます。
しかし、ロールシャッハが知覚の研究に関心を持ち、インクブロット図版を用いた検査の研究を行ったのは、絵を描いたりすることが好きだったことと決して無関係ではないように思えます。

あくまで趣味は趣味として嗜み、普段はそれとは関係のない仕事をして大きな成果を出す人もいますが、ロールシャッハの場合は小さい頃から関心を持っていることと、職業として選んだこととが自然な形で結びついたのでしょう。

これが研究意欲をかき立てることに、そして大きな可能性を秘めた検査法の開発につなっがたのかもしれません。

MEMO

その後、ロールシャッハ・テストはアメリカで大きく発展し、精神分析なども含めてさまざまな観点から研究が行われました。

結果を解釈するには熟練を要し、実証性に乏しいという批判を克服するため、エクスナー,J.は包括システムという検査実施・解析方法を作成し、エビデンスに基づく解釈ができるようにロールシャッハ・テストを発展させました。

包括システムのようにエビデンスを重視したロールシャッハ・テスト研究も行われていますが、投影法検査について強力なエビデンスを示すことは困難だという批判はそれでもなおあります。

しかし、今でも実施頻度が高く、臨床的には有益な検査であると見なされています。