尺度水準の定義
尺度水準とは調査対象に割り振った変数、その測定、あるいは得られたデータを、それらが表現する情報の性質に基づき数学・統計学的に分類する基準のことです。
スティーヴンスは以下の4つの尺度水準を提案しています。
名義尺度は、対象を質的に区分するための尺度です。
名前の代わりに数値を割りふることで単なる違いを示しているため、数値同士には順序・序列の意味はありません。
順序尺度は、対象を序列関係に置き換えて区分し、数値を割り振り、測定するための尺度です。
数値は、順序・序列の意味しか持たず、数値の間隔は一定とはいえません。
間隔尺度は、対象を数量的に測定するための尺度です。
尺度化した際の数値に、数字そのものが示す数学的序列関係があり、その数値同士が一定の間隔を持つと仮定されます。
比率尺度は、同一性・順序性・差の等価性の上に絶対的零点を持つ、比の可能性を有する尺度です。
重さや長さのように、主に物理的尺度であるため、心理学的測定ではあまり適用されていません。
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尺度水準の補足ポイント
それぞれの尺度については、具体例を交えて考えてみると理解しやすくなります。
名義尺度とは、例えば男性を1、女性を2、もしくは、A型を1、B型を2、O型を3、AB型を4と割り振るといったものです。
この場合、数値はあくまでも記号的なものであり、先述の説明のように、数字に順序や序列の意味はないことが分かるでしょう。
順序尺度は、例えば成績の順位などが例として考えられますが、この場合には、名義尺度とは異なり、順序や序列の意味が生じることが分かりますね。
しかし、1位と2位の間と、2位と3位との間などで、点数の差が異なることは普通であり、この尺度の数値を計算することは意味がないといえるでしょう。
そのため、平均値などを算出することはできず、代わりに、中央値・百分位・範囲・四分位・順位相関係数などを求めることになります。
間隔尺度の代表的なものとしては、温度計、標準化された学力検査、標準化された心理測定尺度などが挙げられます。
比率尺度は、主に物理的尺度に用いられ、代表的なものには、身長計や体重計が挙げられます。
比率尺度における0が絶対的な無を表す数値であるため加減乗除算がすべて可能であるのに対し、間隔尺度では0があくまでもその尺度内における相対的な位置を示すに過ぎず、乗除算が不可能であるという点で大きく異なります。
なお、通常、用いられる心理測定尺度の多くは、例えば「あてはまる」から「あてはまらない」といった選択肢になっていますが、これは順序関係を示しているだけであるため、厳密には順序尺度と考えられます。
しかし、心理学においては、便宜上、間隔尺度として扱うことがほとんどなので、覚えておきましょう。
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