横断的研究の定義
横断的研究は、公認心理師試験だけでなく、心理系大学院の専門科目の論述試験でも超頻出の最重要キーワードです。
また、研究計画書を作成する上で、横断的研究の概念を理解していることは不可欠です。
横断的研究とは、異なる年齢や属性を持つ複数の集団を、ある一時点で調査・比較する研究法です。
心理学では、人の発達や心理的特徴、行動傾向などを把握するために用いられる代表的な研究デザインの1つです。
横断的研究では、同一人物を長期間追跡するのではなく、異なる集団を同時期に調査するため、比較的短期間でデータを収集できることが特徴です。
また、心理学研究においては、仮説の検討や発達的変化の推測、社会的特徴の把握など、さまざまな目的で活用されています。
ただし、横断的研究では異なる集団間の比較を行うため、観察された差異が年齢や発達によるものなのか、それとも世代や時代背景の違いによるものなのかを慎重に解釈する必要があります。
横断的研究の関連キーワード
- 発達研究
- 質問紙法
- 縦断的研究
- 相関研究
- 因果関係
- サンプリング
横断的研究の補足ポイント
横断的研究は、心理学における研究デザインの1つであり、特に発達研究でよく用いられます。
例えば、「高齢者は若年者より記憶力が低いのか」「思春期では自尊感情にどのような特徴があるのか」といったテーマを検討する際、異なる年齢群を同時に比較することで、比較的効率的に研究を進めることができます。
データ収集の方法としては、質問紙法や心理検査、面接法などが用いられることが多く、大人数を対象に実施しやすい点も長所です。
これに対して、同一人物を長期間追跡して変化を調べる方法が縦断的研究です。
縦断的研究は発達変化を直接捉えやすい反面、調査期間や費用がかかり、参加者の脱落が起こりやすいという課題があります。
したがって、横断的研究と縦断的研究にはそれぞれ長所と短所があり、研究目的に応じて適切な方法を選択することが重要です。
また、横断的研究は集団間の関連性や傾向を明らかにすることに適しており、相関研究として実施されることもあります。
しかし、ある変数同士に関連が見られたとしても、それだけで因果関係を証明できるわけではありません。
例えば、「SNS利用時間が長い群ほど不安傾向が高かった」という結果が得られたとしても、SNS利用が不安を高めたのか、不安が高い人ほどSNSを利用しやすいのか、あるいは別の要因が影響しているのかは横断的研究だけでは判断できません。
さらに、研究結果の妥当性を高めるためには、どのような対象を調査するかというサンプリングも重要になります。
調査対象に偏りがある場合、得られた結果を一般化することが難しくなるため、研究計画の段階から慎重な検討が求められます
ちなみに、心理系大学院入試では、「横断的研究とは何か」という基本的な問題から、
「あなたが考えている研究計画の研究デザインとして、なぜ横断的研究を選んだのか、その妥当性を述べよ」
といった、一歩踏み込んだ「思考力と」と「論述力」が求められ問題まで出題されます。
心理系の論述試験や研究計画書は、独学で教科書を丸暗記しても、採点官に伝わる文章を書くのは非常に困難です。
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発達心理学の研究において、10歳児、15歳児、20歳の若年成人に対して同一の心理尺度を同時期に実施し、年齢による自尊感情の違いを比較した。この研究法として最も適切なものを1つ選べ。
① 横断的研究
② 縦断的研究
③ 実験研究
④ 事例研究
【解答】
①
本問題では、異なる年齢集団に対して同一時点で調査を実施し、その結果を比較している研究法が問われています。
横断的研究とは、異なる年齢や属性を持つ集団を、ある一時点で調査・比較する研究法です。
問題文では、10歳児、15歳児、20歳という異なる年齢群に同時期に心理尺度を実施して比較しているため、横断的研究に該当します。したがって、答えは①です。
なお、②の縦断的研究は、同一人物を長期間にわたって追跡し、発達や変化の過程を検討する研究法です。例えば、10歳時点で調査した子どもを15歳、20歳まで継続的に追跡して比較する場合は縦断的研究となります。
③の実験研究は、独立変数を操作して因果関係を検討する研究法であり、④の事例研究は特定の個人や少数事例を詳細に検討する方法です。
このように、「同時点で異なる集団を比較するか」「同一対象を継続的に追跡するか」は、公認心理師試験でも頻出の区別なので整理して覚えておきましょう。

















