般化の定義
般化とは、初めに条件づけされた刺激や条件以外の、類似した別の刺激や条件においても、反応や学習効果を生じさせるようにすることです。
具体例としては、「メガネをかけた医師に注射をされた子どもが、メガネをかけた男性なら誰を見ても泣く」といったことが挙げられます。
般化は、物理的類似性だけでなく、意味的類似性に対しても生じるとされており、物理的類似性による般化を刺激般化、意味的類似性による般化を意味般化と言います。
また、条件づけされた反応だけでなく、類似の別の反応の生起率が増大することがあり、これを反応般化と言います。
生理的な無条件反射を応用した古典的条件づけ(レスポンデント条件づけ)でも、報酬と罰を応用したオペラント条件づけ(道具的条件づけ)でも般化は見られます。
なお、条件づけられた刺激に似ている度合いが高いほど、反応は起こりやすく、また、似ている度合いが低いほど、反応は弱くなるということがわかっています。
般化の関連キーワード
- 条件づけ
- 刺激般化
- 意味般化
- 反応般化
- 弁別(分化)
般化の補足ポイント
般化される行動や反応には、適応的な行動もあれば非適応的、つまり病的な行動などもあります。
したがって、般化の概念は精神病理学の症状形成機序としても用いられる事があります。
例えば、パニック障害です。
一度、電車の中でパニック発作を起こし、発狂不安を感じると、違う日の電車やバスでも同じようなパニック発作を起こすのではないかという予期不安が起こりやすくなるとされています。
この予期不安の形成も、これも条件づけの般化の1つであると捉えることができます。
恐怖症や不安性障害を持つ人の場合も、同様に、般化が起こることが多々あります。
もともと持っていた恐怖・不安の対象が、それ以外の似た対象にも拡張されることがあるのです。
この時にも学習や条件反射による般化が起こっていると考えられます。
般化とセットで覚えておきたいものに、弁別(分化)があります。
これは、般化とは反対に、類似した刺激の中から、ある特定の刺激だけに反応するようになることです。
人は、弁別と般化を繰り返すことで、日常生活において、より適応的な行動が獲得されると考えられています。
子どもが何らかの概念を覚えていく過程でも般化と弁別が生じます。
四足歩行の小さな動物のことを「イヌ」と覚えた子どもは、はじめは般化によりネコやウサギを見ても「イヌ」と言うことがあります。
しかし、その反応が強化されずに何度も訂正されると、徐々にイヌ、ネコ、ウサギは違う動物なのだと弁別できるようになります。
また、茶色いイヌしか見たことがない子どもは、黒いイヌを見たときに戸惑うかもしれませんが、次第に般化が生じて、いろいろな毛色のイヌもイヌとして認識できるように概念が形成されていきます。