三項随伴性の定義
ある出来事が生じた後に、その出来事から影響を受けて、有機体の行動や反応に変化が生じることがあります。
その場合、その出来事と行動の間には随伴性が生じていると言うことができます。
オペラント条件づけにおいては、先行条件(弁別刺激)─ 行動(反応)─結果(強化)という三項随伴性の分析が重視されます。
行動分析や行動分析に基づく行動療法では、この三項随伴性を変化させることにより、有機体にとって問題となっている行動や反応を修正しようとする試みが行われます。
行動に影響を与えるような刺激を強化子と言い、行動の直後に出現するとその行動を強化するような正の強化刺激のことを好子、逆に行動を抑制するような負の強化刺激のことを嫌子と呼びます。
ちなみに、この三項随伴性の分析は先行条件(Antecedents)、行動(Behavior)、結果(Consequences)の頭文字をとってABC分析と呼ぶこともあります。
三項随伴性の関連キーワード
- オペラント条件づけ
- 好子・嫌子
- ABC分析
- 随伴性マネージメント
三項随伴性の補足ポイント
こうした三項随伴性を分析し、行動変容を試みることを随伴性マネージメントと呼びます。
先行刺激を変えたり、または呈示したり呈示しなかったりするなどをすると、それに対応する反応が変化する可能性があります。
また、生起された反応や行動に対して、正の強化刺激を与えてその反応を促進したり、負の強化刺激を与えて反応の抑制を試みたりする方法があります。
子どもが問題となる行動をしてしまう場合などには、随伴性マネージメントが有効な解決法として期待できます。
例えば授業中に先生が話している時(先行条件)に、子どもが立ち歩いてしまう(行動)ので、先生が叱る(結果)という状況があったとします。
この場合、先生が叱って嫌子を与えることで立ち歩きがなくなる可能性もありますが、子どもには「怒られた」という嫌な気持ちだけが残り、なぜ立ち歩きがダメなのか分からず不満ばかり大きくなってしまうかもしれません。
そうするとその場の問題は解決したとしても、その子はただ勉強が嫌いになってしまうこともあるでしょう。
こうした場合、その子が立ち歩かないできちんと課題に取り組めた(行動)時に褒めてあげる(結果)と、望ましい行動が強化されて、その子は何かを学ぶ楽しさに気づくことができるかもしれません。
随伴性の観点から行われる行動療法は、医療機関でも行われていますが、教育・福祉領域や、アルコールや薬物への依存に対する治療、禁煙などにも有効であると言われ、さまざまな分野で取り入れられています。
随伴性マネージメントによる介入を行う際には、行動面だけではなく認知面も考慮することが大切です。
上記の例では、立ち歩きをしないで課題に取り組んだ子どもの行動を褒める例を挙げましたが、望ましい行動をしたときに褒めれば、必ず上手くいくわけではありません。
先生が褒めたとしても、自分にとっては嬉しくない褒め方だと認知したら、その子どもは嬉しい気持ちにはなれず、せっかくの望ましい行動を強化できないこともあり得ます。
どの行動に対してどう介入するかだけではなく、どのように働きかけるかという面も重要です。