ストループ効果の定義
ストループ効果とは、それぞれ意味の異なる刺激が同時に呈示されると、刺激に反応するまでに時間が多くかかる現象のことで、1935年にストループ,J.R.が発表しました。
具体的な実験例を挙げると、被験者にあらかじめ「これから文字の書かれた紙を見せます。書かれている文字の意味ではなく、文字の色を答えてください」と伝えておきます。
そして被験者に、緑色のペンで「赤」という文字を書いた紙(この実験における課題、すなわち刺激)を被験者に見せます。
ここで被験者が求められているのは、「緑」と答えることです。
ほとんどの場合、文字の色と意味が同じ場合(緑色のペンで緑と書いてある)よりも、この実験刺激のように文字の色と意味が異なる場合の方が、答えるまでに時間が長くかかります。
また同様の刺激について、「文字の表す意味を答えてください」という課題(「赤」が正答)を出してみると、やはり色と意味が異なる場合の方が回答するのに時間がかかり、こちらは逆ストループ効果と呼ばれます。
ストループ効果の関連キーワード
- ストループ,J.R.
- 逆ストループ効果
- ストループ課題
- 干渉制御
- 選択的注意
ストループ効果の補足ポイント
なぜこうした現象が起きるのでしょうか。
その要因として、
- 色と文字という2つの刺激が同時に入ってくるので知覚的な処理に時間がかかる
- 単語を読む速度と色の名前を答える速度自体が異なる
- 色と文字とで概念が異なるため処理に時間がかかる
といったことが挙げられています。
このように意味の異なる刺激が同時に呈示され、どちらか片方の刺激に反応して答えてもらう課題を総称してストループ課題と呼びます。
ストループ課題では、どちらか一方の刺激に選択的に注意を向けるため、もう片方の刺激を無視(干渉制御)しないといけません。 そのためストループ効果・逆ストループ効果は、意識的に特定の事柄に注意を向ける選択的注意力などの指標になると言われています。
パーティ会場などではたくさんの人の話し声やBGM、物音などがあちこちで響いていますが、誰かと会話をしている間は目の前の人の声だけ聞き取ることができるし、注意を傾けない限り他の音はそこまで気になりません。
この現象をカクテルパーティ現象と言いますが、普段私たちは意識せずこのような選択的注意を行っているのです。
この選択的注意がうまく働かないと、会話をしていても関係ない人たちの声が気になって集中できないなど、日常生活でも不都合が生じることがあります。
また、ある疾患を持っている人は、健常者に比べて逆ストループ効果が大きくなるといった研究もあるので、選択的注意力などの認知的特性を把握することで、ストループ課題を臨床的支援に応用することも考えられています。
ストループ効果が生じる要因の1つとして、意味の異なる刺激が同時に入ってくると知覚的な処理に時間がかかるという説を紹介しました。例えば、プレゼン資料で「冷たくて美味しい水」という商品説明をする場合、文字の色を赤より青で記載した方が涼し気な印象となり、読み手に情報がスムーズに伝わる可能性が高くなるでしょう。