ソシオメトリー

ソシオメトリー

ソシオメトリーの定義

ソシオメトリーとは、モレノ,J.L.により提唱された社会的集団の構造と機能に関する理論です。

その集団の構成員の心理的・感情的作用に注目して把握し、それらの作用による集団の構造化と秩序、及び関係性の維持や、その再構成に関して、数学的に明らかにしようとするものです。

ソシオメトリーの大きな特徴は、集団構造の既存の役割関係や制度的側面に焦点化するのではなく、集団の構成員による心理的・感情的な作用による側面に焦点化するという点です。

この理論をもとに、構成員間の心理的・感情的関係性を測定するために開発された方法がソシオメトリック・テストです。

ソシオメトリック・テストでは、構成員相互の感情的結合として「魅力」と「排斥」に基づく、ソシオメトリック構造に着目します。

このテストにより明らかにされた関係性を、ベクトル、つまり矢印にして図式化したものをソシオグラムと呼びます。

ソシオメトリーの関連キーワード

  1. モレノ,J.L.
  2. ソシオメトリック・テスト
  3. ソシオグラム
  4. サイコドラマ(心理劇)

ソシオメトリーの補足ポイント

ソシオメトリック・テストは、質問紙を用いることで、構成員の関係性が明らかにされる方法です。

具体的には、「集団内にどのようなグループが存在するか」「どのグループにも属さない孤立児・排斥児はどのくらいいるか」「最もみんなから人気のあるのは誰か」などを、結果から捉えるのです。

例えば、クライエントが児童・生徒であり、子どもの所属する集団における評価が必要となる場合に、これらは有用とされます。

学級における仲間関係の構造を明らかにすることは、そのクライエントの置かれている学級内地位を知る上で、重要な情報源となり得るのです。

 
また、ソシオメトリーにおいて、より良い社会的集団を作り出すためのプログラムとして、構成員の自発性と創造性を喚起するロールプレイを用いたものをソシオドラマと呼びます。

さらに、より有名なものとして、構成員の対人関係上の問題を解決したり、その精神的健康状態を改善することを目的としたロールプレイのプログラムをサイコドラマと呼びます。

サイコドラマもモレノ,J.L.が創始したもので、即興劇を用いた、集団心理療法の1つで、「心理劇」とも呼ばれます。

MEMO

ソシオメトリック・テストは、児童・生徒だけではなく大人を対象にして、例えば企業などに属する集団に使用することもできます。

テスト結果を分析することで、生産性向上のヒントが得られるといったメリットがあるため、1990年代ごろまでは、このテストは頻繁に使用されていました。

しかし、「同じグループになりたくない人」といった質問に答えることで、苦手意識が顕在化してしまったり、その人たちの人間関係が疎遠になったりする可能性があります。
また、場合によっては差別を助長してしまう恐れもあるでしょう。

こうした倫理的な懸念もあることから、近年では慎重な実施が求められています。