確証バイアス

確証バイアス

確証バイアスの定義

人は誰もが客観的で論理的な思考をしているわけではなく、日々の生活の中で、多かれ少なかれ認知バイアスにとらわれている可能性があります。
そのバイアスの1つに確証バイアスがあります。

書籍にインターネット、テレビにラジオといったツールにあふれる現代において、求めている情報を集めることはそう難しくはありません。

しかし、ある仮説を検証しようと探求していくなかで、人はその仮説に反するような情報は無視する傾向にあります。

例えば、「80歳ドライバーが衝突死」といったニュースが流れるとします。
こうした情報は頻繁に発信されていますが、これを見た視聴者は、「だから免許返納!」「高齢者の運転は危険だ」と思うことでしょう。

しかし、ニュースだけでなく実際の統計を見ると、10代と80代とでは、事故件数に大差ないことがわかります。

 
では、なぜ、高齢者ドライバーに対しより危険を感じる人が多いのでしょうか。

その理由として、過去に目にした場面を選択的に想起し、「高齢者は事故を起こしやすい」といった印象が形成されているためであると言えます。
過去に横断歩道を渡り切れない高齢者を見た、危ない自転車走行をする高齢者を見た、転んでしまった高齢者を見た、といった経験が印象形成に関わっていたりするのです。

 
人は、自分でも気づかぬ間に、自らの思い込みや仮説に合う証拠を選び取り、優先する傾向にあります。
一方で、仮説を支持しない情報は軽視しがちであると言えます。
こうした偏った認知のことを確証バイアスと呼びます。

元々の考えを強化するような情報ばかりを集めることにより、当初の考えは維持されやすく、特に日常生活での場面においては考えに反する情報を探すことはほとんどないとされています。

確証バイアスの関連キーワード

  1. 認知バイアス
  2. ステレオタイプ

確証バイアスの補足ポイント

「A型は几帳面である」、「O型は大雑把である」といった血液型による性格の違いは一度は耳にしたことがあるかもしれません。

しかし、そのように言われる科学的な根拠はないとされ、ステレオタイプの影響が要因の1つとして挙げられます。

ステレオタイプというのは、あるカテゴリーに含まれる人が、何らかの共通点を分かち合っている、という思い込みのことを指し、ステレオタイプは確証バイアスによって強化されるといえます。

もし整理整頓された部屋の住人がA型であると聞いたら、「やはりそうか」ともともとの信念は強化され、一方でO型の人が物の置き場などに細かくこだわっていたら、「そういうこともあるのか」などと例外に捉えがちです。

ステレオタイプを強める面ばかりに目が向き、その他の性格は意外であるとされたり、必要のない情報として忘れられたりもします。

 
世界各地で流行した新型コロナウイルスについて、さまざまなメディアが日々世界情勢を発信してきました。
しかし、これらの情報には未知の部分も多く、正確な情報も少ないため、受け取り側によって多様な解釈がなされます。

例えば、もともとこのウイルスに対し恐怖心を抱いていると、「死者〇人」、「致死率〇%」といった情報によって恐怖心はさらにあおられ、「とにかく怖い病気だ」とパニックに陥ります。

 
しかし、周りに罹患者がいないなど、恐怖心も感じずに同じ数字を見ても、大した脅威は感じません。
情報を集めることをやめたり、いつもと変わらず人混みを出歩くこともあるでしょう。
いずれの場合も確証バイアスによって認知の歪みが生じており、気づかぬうちに、過度に悲観的もしくは楽観的になっている可能性を指摘できます。

こうした歪みへの対処法としては、テレビやインターネットなどの目に入りやすい情報ばかりでなく、出どころの信用できる専門家によるデータや国からの情報発信もバランスよく取り入れていくことが挙げられます。

MEMO

確証バイアスは大事な決断を下さなければならないときにも起こり得るものです。
したがって、日頃から視野が広く、バランスの取れた意見を述べてくれる友人をそばに持つとよいでしょう。
また、自分の主張に反する意見を意識的に取り入れることも重要となります。