健忘症

健忘症

健忘症の定義

健忘症は記憶障害とも言われるように、物事をうまく記憶できない、記憶してもすぐに忘れてしまうといった症状を指します。

健忘症は、さまざまな原因から生じる可能性があります。
事故などで脳そのものに損傷を負っても生じますし、精神疾患の影響で一時的に記憶力が低下するといったことも考えられます。

 
なお記憶が大きく障害される疾患というと認知症が有名ですが、認知症が生じた場合は、記憶能力だけではなくその他の注意力や思考力なども低下します。

全般的な知的能力や、言葉を話したり理解する能力などが保たれているのに、記憶だけが障害されているものを健忘症と呼びます。

健忘症の関連キーワード

  1. 前向性健忘
  2. 逆向性健忘
  3. 器質性健忘
  4. 心因性健忘
  5. 海馬

健忘症の補足ポイント

健忘症は2つの観点から分類することができます。
1つは時間的観点から分けられ、前向性健忘逆向性健忘の2つがあります。
前向性健忘は、健忘症を生じた後に経験した出来事を記憶できなくなるもので、逆向性健忘は、健忘症を生じる前の出来事について思い出せなくなるものです。

記憶は記銘(符号化)、保持(貯蔵)、想起(検索)の3つのプロセスで構成されますが、記銘や保持がうまくできないと前向性健忘が生じ、想起ができないと逆向性健忘が生じます。

健忘が生じた原因によっても2つに分けることができます。
それは器質性健忘心因性健忘であり、この2つは脳の障害があるか否かによって分けられます。

事故により物理的に脳が外傷を受けたり、アルコールや薬剤により脳がダメージを被ったり、あるいは脳卒中や悪性腫瘍などの疾患により脳が傷ついてしまうと、損傷を受けた脳の部位に応じて様々な症状が表れ、健忘症が生じることもあります。

器質性健忘の例としてテキストなどでよく紹介される症例にH. M.という人がいます。
彼は側頭葉を切除する手術を受けた後、知能などは正常に保たれたにもかかわらず重度の前向性健忘を示しました。
このため側頭葉切除の際に海馬の一部が損傷を受けたことが原因と考えられてきました。

 
心因性健忘は、脳に物理的な損傷はないものの、心理的な原因により記憶が障害されるものですが、そのメカニズムははっきりとは分かっていません。
心因性健忘の場合は逆向性健忘が生じることが多いと言われています。

 
強い心理的ストレスを受けたり心的外傷となるような体験をした後に、特定の出来事だけを想起できなくなるような状態を、解離性健忘と呼ぶこともあります。

主に自分の生活史や経験に関する記憶が断片的に失われることが多く、これらが普通の物忘れでは説明できない場合に診断されます。

MEMO

編集中