うつ病

うつ病

うつ病の定義

うつ病とは、憂うつや絶望感といった抑うつ気分、喜びや興味の減退、不安や焦燥感などの精神症状の他、食欲減退、不眠あるいは過眠、疲れやすさなどの身体症状が一定期間以上ほぼ毎日持続し、著しい苦痛や社会的生活の阻害が生じる気分障害の一種です。

うつ病に見られるこうした諸症状は、大切な人の死や、人生での大きな挫折など、心に強い負荷がかかったときに多くの人が一過性のものとして経験するものです。
また、統合失調症や人格障害、認知症など、他の疾患を基礎に持っている人が上記の症状を併発する場合も多くあります。
こうした場合は「うつ状態」と言われ、単発性のうつ病とは厳密には区別されます。

 
うつ病の様態はその重症度によってさまざまであり、軽度から重度まで、それぞれに合わせた治療法があります。
主なものは、十分な休養、認知療法や対人関係療法などの精神療法、抗うつ薬をはじめとする薬物療法などです。

 
うつ病の症状自体は健康な人でも感じることがあるものですが、重度の事例では自殺の危険が過度に高まることや、自殺未遂による負傷などで入院に至る例もあります。

また、うつ病は再発しやすいということが知られており、再発を繰り返せば繰り返すほど、その後の予後が悪化することが分かっています。

そのため、どのように治療を行うのかもさることながら、回復後どのように再発を予防するのかという点も非常に重要とされています。
この点においては、無理のない社会生活が送れるようにある程度の環境を整えることも大切です。

うつ病の関連キーワード

  1. 抑うつ
  2. 抗うつ薬
  3. 仮面うつ病
  4. 自殺

うつ病の補足ポイント

なお、症状として抑うつ気分が少ない、あるいは自覚的でなく身体的な症状が顕在化している場合を仮面うつ病と呼びます。

仮面うつ病の特徴として、本人も周囲も心の不調として気づかれにくいという性質があります。
身体的問題であると考えて精神科以外の一般診療科を訪れ検査をしても何も異常がなく、最終的に精神科や心療内科を訪れたところ背景にはうつ病があった、ということが仮面うつ病の場合は多くあり、こうした場合適切な治療が遅れることで症状が悪化することもあるため、注意が必要です。

 
そして、うつ病ととても重要な関連を持っているのが、自殺の問題です。多くの自殺の要因・背景に、重度のうつ病や深刻なうつ状態があると考えられています。
また、うつ病の治療過程においても、自殺のリスクについて留意しておくことが重要です。
特に、その回復期において自殺の危険性が高まるということも指摘されており、回復傾向にあっても自殺の兆候について常に注意が必要であると言われています。

MEMO

「うつ」という言葉は他の精神疾患名に比べて比較的日常でも使用する言葉であり、その症状は健康な人が感じるものでもあります。そのため一般的なイメージにおいても軽度のうつが想像されることが多いのですが、重症度によっては死に至る深刻なものも含まれるということを理解しておきましょう。