労働基準法

労働基準法の定義

労働基準法とは、1947年に公布された、労働関係の基本原則と労働条件の最低基準を定めた法律です。

産業・労働分野における法律は複数ありますが、労働者が働く上での安全や健康の管理に関しては労働安全衛生法に定められ、人事労務管理のための労働条件については労働基準法に定められています。

労働基準法には、労働条件や待遇などの労働契約に関する事柄や、賃金、労働時間、時間外労働、休憩、休日、年次有給休暇、就業制限や産前産後休業、災害補償制度などについて規定されています。

その規定の多くに、違反に対する罰則が定められており、労働者の申告などを通じて労働基準監督署が監督指導を行うことがあります。

 
労働基準法では、原則として時間外・休日労働は禁じられていますが、労使協定(いわゆる36協定)を結んだ場合は例外となります。
ただし、時間外・休日労働の設定にも上限があり、2018年の法改正により長時間労働の規制がこれまでよりも強化されました。

 
最近の改正では、2019年に時間外労働の上限規制、有給休暇の取得義務化などが定められました。

2020年には、パートタイマー・有期雇用労働者について、正社員との同一労働同一賃金とすることが定められ、2021年には子の看護・介護休暇が時間単位で取得できるようになりました。

そして2023年の改正においては、月60時間を超えて働いた場合の賃金割増率の引き上げが予定されています。

 
労働上のトラブルによって大きな心理的ストレスを抱える人も少なくはなく、働く一人ひとりが、労働関連法規の知識を身につけておくことも必要なことと言えるでしょう。

労働基準法の関連キーワード

  1. 労働安全衛生法
  2. 労働基準監督署
  3. 労使協定
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労働基準法の補足ポイント

労働基準法に、労働組合法労働関係調整法を加えて労働三法と呼びます。
労働三法は、労働者の基本的権利を具体的に定めた法律と定義できます。

労働組合法は、労働者が使用者(雇用者)と交渉する際に対等の立場に立つことで、労働者の地位を向上させることを目的とした法律です。

労働者と使用者とは、本来は対等の関係であるはずですが、一般的に使用者側が強い力を持つ関係性になってしまいがちです。
この法律では、労働三権と言われる団結権、団体交渉権、争議権を認め、労働組合や労働委員会などについて規定しています。

 
労働関係調整法は、労働関係の公正な調整を図り、労働争議を予防または解決するための法律です。

この法律では、労働争議が起きた場合、基本的には関係当事者によって自主的に解決するものとしています。
ただし、政府は解決のために側面から助力するものとして、そのために労働委員会による斡旋、調停、仲裁および緊急調整の4つの方法を定めています。

 
労働安全衛生法は、当初は労働基準法の中に規定されていましたが、1972年に独立した形で公布されました。
この法律は、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的としています。

この法律では、労働災害(労災)を防止するため、危険防止や労働者の健康の保持増進、快適な職場環境の形成について計画し、管理することを規定しています。

労働安全衛生法に関して、厚生労働省により「労働者の心の健康の保持増進のための指針(メンタルヘルス指針)」が示されています。
また、2014年の法改正では、従業員50人以上の事業所は年1回のストレスチェックを実施することが義務づけられました。
同じく従業員50人以上の事業所では、産業医の選任が義務づけられています。

なお、労働者自身も労災の防止に協力する義務があり、健康診断の受診が義務づけられています。
ただし、ストレスチェックを受けることは、労働者にとっては義務ではありません。

MEMO

2007年に公布された労働契約法では、労働契約に関する基本的事項を定めています。

この中で、安全配慮義務が明文化されており、使用者は労働者の健康管理に配慮する民事上の義務責任があり、これに違反した場合は損害賠償責任が生じます。