ワーク・ライフ・バランス

ワーク・ライフ・バランス

ワーク・ライフ・バランスの定義

ワーク・ライフ・バランスとは、「仕事と生活の調和」のことを指し、仕事から充実感を得て、責務を全うする一方で、個人のライフである自己啓発や家庭、介護、子育てに携わる十分な時間の確保が目標に掲げられています。

生計を立てるために仕事に就くことは欠かせませんが、職場以外での人との関わりや独自の生活において充実感を感じてこそ、仕事においてもよりやりがいや喜びを感じることができるものです。

しかし、実際には、職がなく自立できない者や、職務に追われ家族との時間が取れない、あるいは健康を損ねる者、仕事と家事との両立に悩む者も多く、ライフとワークとの間で問題を抱える場合も少なくありません。

そうした働き手の将来への不安が、社会の活力低下や少子化につながっているともされています。

 
ワーク・ライフ・バランスが実現した社会は、3つの柱で構成されています。
まず、若者が希望をもって働き、結婚や子育てといったライフステージを迎えるのに十分な経済的基盤が確保できる、「就労による経済的自立が可能な社会」です。

次に、有給取得率を上げ、家族や友人とのひと時を過ごしたり、自己啓発に時間を割くなど、より豊かな生活を送ることのできる「健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会」です。

そして最後に、性別や年齢に関係なく、誰もが能力を身に着け、意欲を持って働くことのできる「多様な働き方・生き方が選択できる社会」です。

結婚、子育て、介護など、それぞれのライフステージにふさわしい柔軟な働き方ができるように取り組んでいかなければなりません。
また、そのために設けられた制度を実際に利用し、復職後も公正な処遇が約束されることが目指されます。

 
企業や働き手は、ワーク・ライフ・バランスの実現のために、協調し合うことが欠かせません。
経営トップは職場の風土改善に努め、業務の見直しや効率の良い働き方を提案することが望ましく、一方、働き手は生産性向上に貢献し、働き方の改革に自主的に携わるよう求められます。

主には、長時間労働の抑制、年次有給休暇の取得促進、メンタルヘルス対策への取り組みが具体的なものとして求められます。

ワーク・ライフ・バランスの関連キーワード

  1. ワーク・ファミリー・コンフリクト

ワーク・ライフ・バランスの補足ポイント

ワーク・ライフ・バランスと大きく関係するのが、仕事と家庭とを両立する際に生じるワーク・ファミリー・コンフリクトです。
職場と家庭、それぞれの場における役割間葛藤のことを指し、仕事における要求や職務に費やす時間が家庭での職務達成の妨げになる「職場から家庭」への側面、反対に、家事や育児で疲れてしまい、仕事で十分に力を発揮できないといった「家庭から職場」への側面のいずれもが含まれます。

こうした葛藤は、特に日本においては、男性より女性により顕著に見られると言われています。
例えば、日本では古くから家庭の仕事は女性の役割であるという文化が根付いており、子どもに対する責任の多くも負っていることが報告されています。

こうした葛藤は、配偶者から得られる道具的・情緒的サポートによって軽減されることがわかっており、男性のさらなる子育て、育児、介護への関与を実現させることが重要となります。

MEMO

2020年のコロナウイルスの蔓延に際して、リモートワークが許可された職場も多くありますが、これも仕事と生活の調和を推進する取り組みの1つであると言えます。
例えば、パニック障害などを抱えながら働く者にとって、通勤が免除されることは、復職へのハードルが下がります。
加えて、福利厚生の充実、フレックスタイムでの勤務などもワーク・ライフ・バランス達成に向けての取り組みとして挙げられます。