モデリング

モデリング

モデリングの定義

モデリングは、学習の方法の1つです。

古典的な学習心理学では、自ら直接的に経験したり、誰かから褒められて強化されたりすることで学習が生じると考えられていました。

しかし研究が進む中、社会的学習理論を提唱したバンデューラ, A.は、上記のような外的強化がなくても、他者を観察し模倣するだけで行動を学習することが可能であると考えました。

なお、外的強化がなくても学習は生じますが、学習をさらに促進する上では外的強化が有効であることもわかっています。

 
ある実験では、大人が攻撃的な行動をとるのを見た幼児は、攻撃的な行動を褒められたりしたわけでもないのに、その後に攻撃的な行動が多くなりました。身の回りの他者に限らず、マンガやテレビなどの登場人物もモデルとなり得ます。

またモデリングは単に行動を模倣するだけではなく、場面における役割や態度にも影響を及ぼすものです。

モデリングの関連キーワード

  1. 社会的学習理論
  2. バンデューラ, A.
  3. 外的強化
  4. 模倣
  5. 観察学習
  6. 制止・脱制止
  7. 反応促進
  8. 代理強化

モデリングの補足ポイント

モデリングは観察学習と呼ばれることもありますが、バンデューラによると、モデリングには3種類の効果があり、その中の1つに観察学習による効果が挙げられています。

 
観察学習はモデルの行動を見て新しい行動を学習することです。
例を挙げると、会社の上司がいつも5分前行動をしているのを見て、自分も同じように早めの活動を心掛けるといったことです。

 
2つ目の効果は制止・脱制止で、すでに学習していた行動を行わなくなったり、逆にしないようにしていた行動を行うようになったりします。
部活の先輩が、顧問の顔を見ながら話を聞く姿を見てよそ見をしなくなるのが制止です。脱制止の例は、上述の攻撃的行動の実験が挙げられます。
普段親から乱暴しないように言われている子どもが、モデルを見たことで攻撃的行動が増えることなどです。

 
3つ目の効果は反応促進で、すでに学習していた行動がより頻繁に行われるようになります。
もともとゲームが好きな子が、いとこのお兄さんもゲームをずっとやっているのを目にして、ゲームをする時間が一層増えるという例が挙げられます。

MEMO

モデリングでは代理強化という機能が重要です。
自分に対する直接の強化が生じたわけではなくても、強化を受けたモデルと同じような行動の変化が生じることから代理という名称がついています。