職業カウンセリングの定義
職業カウンセリングとは、職業選択や職場適応など仕事に関する課題解決の手助けをするカウンセリングのことです。
職業カウンセリングは、パーソンズ, F.が始めた職業相談に端を発し、カウンセリング心理学や発達心理学などの分野とともに発展してきました。
医療機関で医師の診察と併せて行われるカウンセリングでは、精神疾患や心理的な悩みを抱えるクライエントを治療するという側面が強くなります。
しかし職業カウンセリングにおいては、進路や職業をどう進めるかの意志決定を助けたり、情緒的な安定を援助したりといったことに主眼が置かれ、目標設定の方向性が若干異なります。
具体的にどのような相談が来るかの例を挙げると、職場にうまく馴染めない、管理職になったが実務と違ってうまくいかないなどの適応上の問題があります。
その他、就職活動や昇進のためにどんな業務スキルを身につけていったらよいか、そもそも自分がどんな仕事に向いているか分からないといったキャリア形成についての相談を受けることもあります。
すでに仕事に就いている場合には、異動を希望している、転職を考えているといった相談が出ることもあり、職業カウンセラーは中立の立場に立ち、来談者とともに問題解決に向けて考えていきます。
職業カウンセリングの関連キーワード
- 職業選択
- 職場適応
- 意志決定の支援
- キャリア形成
職業カウンセリングの補足ポイント
職業カウンセリングの一種として人事相談がありますが、これは企業や組織に所属している人々に生じる適応上の問題を扱うカウンセリングのことです。
多くの組織では人事部のスタッフや職場の上長が担当していますが、産業領域の知識を持つ医師やカウンセラーを配置している所もあります。
組織内の人間が人事相談を行うメリットは、その組織の体制や業務内容、人間関係などを共有できるため、相談を進めるにあたって話が速いという点があります。
ただし、内部の人間同士だからこそ話しにくい内容もありますし、業務上のアドバイスはしやすいけれど、メンタル面の問題については専門家ではないため適切にケアできない場合もあるでしょう。
逆に外部の専門家が相談にあたる場合は、より中立的な立場で話を聴き、医学的・心理学的なアドバイスも適切に提供できます。
ちなみに職業カウンセリングや人事相談は、職業心理学という分野の一部とされています。
職業心理学に含まれるのは、上述のようなカウンセリングそのものの実施や、カウンセリングに関する研究活動があります。
その他、職業適性検査などの心理検査の開発や、仕事・職業にまつわる様々な援助方法についての理論についても研究されています。
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