リフレーミング

リフレーミング

リフレーミングの定義

リフレーミングは、主に短期療法、家族療法やナラティブセラピーなどで用いられる、物事の見方や捉え方を変える技法のことです。
これにより、否定的な考え方を中立的、あるいは肯定的な方向に変化させることを目指します。

落ち込んでいる時、視点を少し変えるだけで、気分も大きく変わることがあります。

 
例えば、宿題を目の前にしていて、「まだ半分しか終わっていない」と考えると誰しも気持ちが重たくなってきます。
しかし、「もう半分は片づいている」と考えると少し気持ちが楽になるのではないでしょうか。

いずれにせよ残っている宿題の量は同じですが、その捉え方によって気持ちは前向きにも後ろ向きにもなり、前向きに捉えた方が宿題も捗ってよい結果に結びつくことが多いものです。

 
また別の角度からは、宿題のどの部分が完了していて、どの部分が残っているのかを明らかにすることも有益です。
難しい部分がもう完了しているなら「あとはサクサク進められるぞ」と捉え、簡単な部分が完了しているなら「残りは落ち着いて進めればいい」と考えればモチベーションも少しは上がりそうです。

リフレーミングの関連キーワード

  1. 短期療法
  2. ナラティブセラピー
  3. 確証バイアス

リフレーミングの補足ポイント

新型コロナウイルス感染症が流行していた際は、さまざまな情報が飛び交っていたため不安を感じていた人も多いと思います。

確証バイアスの影響などにより、知らず知らずのうちに悲観的な情報にばかり目が行ってしまうこともあるでしょう。

 
毎日ニュースを見るたびに感染者数と死亡者数が増えていく中で、いつか自分や周りの人も感染し、生き延びるのも難しくなるのではないかと感じたかもしれません。

確かに感染して、不幸にも亡くなる人が増えているのは事実のようですが、その一方で少し視点を横にずらしてみると、回復者の数も日々増えているはずです。

ウイルスに感染すると死んでしまうという固定観念で捉えるのではなく、たとえウイルスに感染したとしても回復している人が確実にいると捉えてリフレーミングをした方が、この困難な状況に前向きに立ち向かっていく気力が湧いてくると考えられます。

 
もちろん楽観的に捉えすぎて予防を怠っては元も子もありません。
必要なのは、客観的で信頼性のある情報に注意を傾け、そうした情報を中立の視点から落ち着いて判断していく姿勢でしょう。

感染拡大防止のために家に居ることで、家族とのつながりを再確認できた、今までできなかった趣味に打ち込む時間ができた、とこの時間を捉え直すことができたかもしれませんね。

 
また、会社のプロジェクト内で数年間頑張ってきたものの、思い通りの成果が出せず昇進に結びついていない事例で考えてみましょう。

会社で出世をすることが人生にとって何より重要だと思っている人にとってはとても悔しく、焦りを感じ、今の仕事をしていても意味がないと思ってしまうこともあるかもしれません。

しかし、昇進という形にはなっていないものの、いつも頑張っている姿や、長年の勤続を見てプロジェクトの内外から信頼され、周囲は安心して仕事をすることができているということに目を向けると、自分の仕事や存在には大きな価値があると感じられるでしょう。

また、顧客と上司との間で板挟みになって毎日へとへとになって働いている上司の姿を見ると、自分もそうなりたいのか、そもそも出世が大事だと思っていたのはなぜだったのか、と自らの中で問い直しが起きる可能性があります。

 
ナラティブセラピーという心理療法では、そうした自分の人生のストーリーを見つめなおして、新しく意味づけをして再構成していく作業をしていきます。

これは必ずしも否定的な見方がダメで、肯定的に変えればいいというわけではありません。それよりも、あくまで中立的な目線で物事を落ち着いて見られるようにすることが重要です。

MEMO

1つの視点のみから物事を捉えていると、考えが行き詰まった時にどうしたらよいかわからなくなってしまうこともあります。
確固たる枠組みを持っていることは、自信を持つことにつながりますし、それ自体は悪いことではありません。
しかし、いつものやり方が上手くいかないと感じた時は、そこにとらわれ過ぎずに新しい見方をしてみることで突破口が見つかるかもしれません。