アレキシサイミアの定義
アレキシサイミアは失感情症とも言われるパーソナリティ特性のことで、シフネオス,P.E.という精神科医が、潰瘍性大腸炎や気管支喘息などの心身症の研究を行う中で見出し、提唱した概念です。
これはギリシャ語のa(欠如)、lexis(言葉)、thymos(情動)から作られた言葉で、アレキシサイミア傾向を持つ人には自分が感じていることを認識したり、他者に感情を伝えたりすることが難しいという特徴があります。
そのため、例えば自分がどんな業種の仕事に就いていて、顧客とこんなトラブルがあってといった客観的な事実については的確に話せるのに、その仕事のどんなところに喜びを感じるか、顧客トラブルがあってどんな気持ちがしたかといったことには答えられないというようなことが見られます。
淡々としているがてきぱき仕事をする人として社会適応がうまくいく場合も多いですが、感情を交えた細やかなコミュニケーションが苦手で対人関係がうまくいかなかったり、辛いと感じていてもそのこと自体を自覚できずに無理をするなどして、心身の不調をきたしてしまうこともあります。
アレキシサイミアの関連キーワード
- 失感情症
- シフネオス,P.E.
- 感情の言語化困難
- 心身症
- 心身症モデル
アレキシサイミアの補足ポイント
シフネオスが心身症の患者に対して精神療法を行っていた頃、神経症の場合とは反応が異なり治療がうまくいかないということも多く経験したようです。
そこで彼は心身症患者に特徴的な傾向としてアレキシサイミアを概念化し、それ以降神経症に対するものとは異なる、心身症に対する治療アプローチを模索していきました。
神経症モデルでは内面の無意識を意識化し、洞察を促すという治療モデルですが、このアプローチ法を心身症患者に用いると不安が高まりすぎてむしろ症状が悪くなってしまうこともあります。
そのためシフネオスは心身症モデルの治療としては、不安を和らげ、時には現実的な助言も行う支持的アプローチがよいと考えました。
アレキシサイミア傾向の高い人は、自分自身の感情をつかむことが苦手なだけではなく、他者の感情をつかむことも苦手だと言われています。
さまざまな感情を表している画像を見せて、それが喜んでいるのか、嫌がっているのかなどを判断してもらう課題では、アレキシサイミア傾向の高い人は、この傾向が低い人に比べて成績が低かったという実験があります。
また脳の活動を計測することができるfMRIという画像検査を用いた実験では、アレキシサイミア傾向のある人が感情を理解しようとして脳内で情報処理をする際に、感情の処理に重要な内側前頭皮質や脳の右側の血流量が減ってしまうというデータが示されました。
アレキシサイミアに関する説明として、最も適切なものを1つ選べ。
① シフネオス, P.E.が神経症患者の研究の中で見出した概念である。
② 自分の感情を認識したり、他者に感情を伝えたりすることが困難であるという特徴を持つパーソナリティ特性である。
③ アレキシサイミア傾向が高い人は、他者の感情の理解については健常者と同程度の成績を示す。
④ アレキシサイミア傾向の高い心身症患者には、内面の無意識を意識化し洞察を促す治療アプローチが特に有効とされる。
⑤ fMRIを用いた実験では、アレキシサイミア傾向のある人が感情を理解しようとする際に、内側前頭皮質や右半球の血流量が増加することが示されている。
【解答】
②
本問題では、アレキシサイミアの基本的な概念と特徴について問われています。
②は正しい記述です。アレキシサイミアは失感情症とも呼ばれるパーソナリティ特性であり、自分が感じていることをうまく認識できなかったり、感じたことを他者に言葉で伝えたりすることが難しいという特徴を持ちます。客観的な事実については的確に話せる一方で、感情に関わる問いにはうまく答えられないといった様子が見られます。
①は誤りです。アレキシサイミアは、シフネオスが潰瘍性大腸炎や気管支喘息などの心身症の研究を行う中で見出した概念であり、神経症患者の研究から見出されたものではありません。
③は誤りです。アレキシサイミア傾向の高い人は自分自身の感情をつかむことが苦手なだけでなく、他者の感情を読み取ることも苦手だとされています。感情を表す画像から感情を判断させる課題では、アレキシサイミア傾向の高い人はこの傾向が低い人に比べて成績が低かったという実験結果が報告されています。
④は誤りです。神経症モデルのように内面の無意識を意識化し洞察を促すアプローチを心身症患者に用いると、かえって不安が高まり症状が悪化することがあります。そのためシフネオスは、不安を和らげ現実的な助言も行う支持的アプローチによる心身症モデルの治療が望ましいと考えました。
⑤は誤りです。fMRIを用いた実験では、アレキシサイミア傾向のある人が感情を理解しようとする際に、感情の処理に重要な内側前頭皮質や脳の右側の血流量がむしろ減少することが示されています。



















