緘黙症

緘黙症

緘黙症の定義

緘黙症(かんもくしょう)とは、実際には言葉を発したり会話をしたりする力があるにもかかわらず、黙って話をしない状態のことを言います。

したがって、言葉を知らないために話すことができない状態などは緘黙症には含まれません。

その原因としては、自閉症、重度の知的障害や心因性などが考えられてきましたが、現在では緘黙というと心因性のものを指すのが一般的です。

 

緘黙は2種類に分けられます。
1つはある特定の場面だけで黙ってしまうような場面緘黙で、もう1つは場所や状況などにかかわらずいつでも言葉を発しない全緘黙です。

全緘黙の場合は器質的原因によって言語能力自体が損なわれている場合も考えられます。
そうしたこともあって、臨床心理的支援の場で出会うのは場面緘黙の方が多くなります。

緘黙症の関連キーワード

  1. 心因性
  2. 場面緘黙
  3. 全緘黙
  4. 外界刺激に対する防衛
  5. コミュニケーション

緘黙症の補足ポイント

場面緘黙は、ある人物に対してだけ話をできなかったり、学校に行くとずっと黙っているなど、特定の人物や状況に関して出現します。

例えば、外に出かけるとまったく話をしないのに、家など安心できる場所に居る時は、笑顔で家族と話をするといったケースがよく見られたりします。

また、場面緘黙が生じる場面においては、ただ話をしないだけではなく、緊張して身体がこわばったり、顔色が悪くなることも多いようです。
また何か作業をしたり、他の人との活動に参加するのも消極的になったりします。

 

場面緘黙が生じる原因の1つとしては、他者との関わりなど外界から受ける刺激が強すぎると感じてしまうため、その刺激から自分を守るために反応しているということが考えられます。

学校という場が怖かったり、とても不安に感じたりしている子どもにとっては、学校でリラックスして過ごすなどは考えられないことでしょう。

学校で何か嫌なことが起きるのではないかと緊張しているとしたら、周りと話をするような余裕はないはずです。
口を閉ざしてコミュニケーションを取らないでやり過ごすようにした方が、苦痛を感じる時間を少しでも少なくできると感じるのかもしれません。

 

場面緘黙の治療に際しては、まずは子どもが安心できる空間づくりをすることが一番大切です。
それから外界の刺激に対する警戒心を少しずつ和らげられるよう働きかけます。

緘黙の治療においては言葉を喋らせることが重要なのではなく、リラックスして他者とコミュニケーションできるようにすることが重要です。
そのため、遊戯療法、箱庭療法、描画法を用いて非言語的にやり取りをすることなどが有効とされています。

MEMO

編集中