MMPIの定義
MMPIは「ミネソタ多面人格目録」と訳される質問紙法による性格検査です。
精神医学的診断の客観的尺度の作成を目的とし、ハサウェイ,S.R.とマッキンレイ,J.C.により開発されました。
MMPIは、各名称が代表的な精神疾患名となっている10の臨床尺度と回答の歪曲や妥当性を検証するための4の妥当性尺度で構成されており、項目数は全部で550と非常に多くなっています。
この検査の特徴は、健常群と臨床群を弁別可能かどうかという客観的・経験的アプローチをとっている点にあり、臨床尺度は群間で有意差が認められた項目で構成されているので、スクリーニング検査として大きな意義があります。
また、妥当性に関する尺度を備えていることで、他の質問紙検査と比べると回答の歪曲が起こりにくいという長所も挙げられます。
しかし、一方で、項目数が多いために労力がかかる、分析が複雑であるといった短所もあり、日本ではあまり使用されていないのが現状です。
MMPIの関連キーワード
- ハサウェイ,S.R.
- マッキンレイ,J.C.
- 臨床尺度
- 妥当性尺度
- スクリーニング
MMPIの補足ポイント
質問紙法による代表的な性格検査としてMMPIとともに名前が挙がりやすいのが、Y-G性格検査です。
これらの異同についても、確認しておきましょう。
MMPIは臨床尺度の構成を見てもわかる通り、もともと臨床群と健常群のスクリーニングを目的として作成されています。
スクリーニング検査とは、ある状態にある人(例:臨床群)とそうでない人(例:健常群)とをふるい分けるために用いられるものです。
一方、YG性格検査はスクリーニングを目的に作成されたものではありません。
人間の性格を形成する12の特性の強弱により表されたプロフィールをもとに性格のタイプ分類がなされます。
「質問紙」「性格検査」という点は共通しながらも、検査の目的や検査から得られる結果は大きく異なることがわかりますね。
その他にも、項目数が非常に多く分析が困難がMMPIに対し、YG性格検査は120項目と項目数が少なく、分析も容易という点、YG性格検査はMMPIのような妥当性尺度がないために、回答の歪曲が生じる可能性があるといった点が違いとして挙げられます。
ちなみに、この「回答の歪曲が生じやすい」という問題点は、質問紙法全般における短所の1つとして挙げられるということを押さえておきましょう。
このように、同じ質問紙形式の検査でも、その意義や特徴は大きく異なります。
検査の目的や、そのクライエントの状態にあわせて、より適切なものを選択する必要があるということを覚えておいてください。
MMPIは「はい」「いいえ」「どちらでもない」の3つの返答で答える性格検査です。
「自分を良く見せようとしている」「正直に回答していない」などがわかるように、妥当性尺度を用いられているのが特徴です。