TEG

東大式エゴグラム

TEGの定義

TEGとは、「東大式エゴグラム(Tokyo University Egogram)」の略称であり、質問紙法による性格検査の1つです。

対象年齢は15歳以上、所要時間は10分程度で、53個の質問項目に対し「はい」「いいえ」「どちらでもない」のいずれかに自己記入で回答していきます。
そして、その回答をもとに後述する5種類の自我状態を棒グラフ化し、自己の性格や行動パターンについて把握します。

TEGは1984年に東京大学医学部心療内科教室のメンバーによって初版が出され、その後数回の改訂を経て現在はTEG3が最新版として出版されていますが、その理論的背景はアメリカの精神科医であるバーン, E.が創始した交流分析理論にあります。

なお、エゴグラムとは個々人の自我状態のエネルギーを数量化して棒グラフにしたものを指し、バーンの弟子であるデュセイ ,J.M.が考案しました。

以下に、TEGで使用されている、交流分析における5つの自我状態とその内容について概説します。

 
交流分析では、人には親の自我状態(Parent:P)、成人の自我状態(Adult:A)、子どもの自我状態(Child:C)の3つの自我状態があるとしました。

そしてさらに、親の自我状態を批判的な親(Critical Parent:CP)と養育的な親(Nurturing Parent:NP)、子どもの自我状態を自由な子ども(Free Child:FC)と、順応した子ども(Adapted Child:AC)のそれぞれ2つに分け、全部で5つの自我の機能として表しました。

 
親の自我状態であるPは、親や親の役割の人から取り入れた行動や感情、思考を表します。
CPは批判的な親とされ、父親のイメージのような厳しい部分を表します。

具体的には、責任感や義務感が強い、規則を守る、断る力がある、完璧主義である、頑固であり時に自分の価値観を押しつける、などの特徴が挙げられます。
そして、NPは母親のイメージのような養育的な親の部分を表します。世話好きである、思いやりがあり優しい、同情しやすいが過干渉やお節介となることもある、といった特徴があります。

 
次に成人の自我状態であるAは、今ここでの出来事や物事に対しての、理性的な行動や思考のことを指します。
事実に基づいて客観的・合理的に物事を判断し、冷静沈着で効率的に行動するといった特徴の一方、機械的で冷たい、打算的であるという面もあります。

 
最後にCは、自分が子どもの頃に感じ、行動したのと同じ自我状態を表します。
自由な子どもであるFCは自由奔放で明るい、好奇心旺盛である、感情をストレートに表現する、など活発で積極的な一方、自己中心的で衝動的であるという特徴があります。
そしてACは順応した子どもと言われ、協調性に富み、従順で優等生、我慢強いという面がありますが、一方で人の評価を気にする、自分の意見が言えない、遠慮しがちであるなどの特徴もあります。

 
TEGは、以上のCP、NP、A、FC、ACの自我状態に対応した5つの尺度と、検査の信頼性を測る妥当性尺度によって構成され、5つの自我を個人がどの程度使っているかを棒グラフとして可視化します。
そして、それぞれの尺度の高低と相互のバランスを見ることで、個々人の性格特性や行動パターンを多面的に捉えることができます。

TEGの関連キーワード

  1. 質問紙法
  2. 自我状態
  3. バーン,E.
  4. エゴグラム
  5. 交流分析

TEGの補足ポイント

多くの心理検査がそうであるように、TEGにも有用な部分と限界点の両方があり、使用するにあたってはそれらの特徴をよく押さえておくことが大切です。

TEGの特徴としては、集団でも個人でも実施することができ、短時間で検査が可能である、採点が簡便であるという長所の一方、回答を意図的に操作することができてしまうことや、文章を理解するためにある程度の知的能力を有することが必要となることなどが限界として挙げられます。
こうした特徴は、質問紙法全般に当てはまる特徴でもあるでしょう。

 
また、TEGは、正常か異常の判断をすることや、特定の疾患をスクリーニングすることを目的としていません。
上で紹介した5つの自我状態は、長所とも短所ともなり得るものとして考えられています。

したがって、結果が平均よりも偏っていたからといって、それは一概に性格の良し悪しを表したり、不適応を示したりするものではありません。
高い場合には高い場合のプラス面とマイナス面があり、低い場合には低い場合のプラス面とマイナス面があります。

CPを例にあげると、CPが高い場合は責任感が強くリーダーシップを発揮できる一方、権威的・支配的になる場合もあります。
CPが低い場合には、他者を批判せずおっとりしている反面、だらしがなく規則を守れないという特徴があるかもしれません。

このように、TEGは、自分の自我状態について視覚的に把握することで自己分析や気づきを得て、自己成長のために役立てるものとして考えられています。

MEMO

TEGは自己への気づきや自己成長を目的としており、実施も簡便なことから、医療現場だけでなく教育現場や、企業など、幅広い領域で利用されています。

また、上に述べたような検査の限界点から、詳細なパーソナリティのアセスメントが必要な場合においては、ロールシャッハテストやバウムテストなどの投映法と組み合わせて実施される場合が多くあります。