作業検査法の定義
作業検査法とは、単純な作業を一定の条件下で行わせ、作業の遂行の過程と結果から、被検査者の内的特性を解釈する方法です。
代表的なものに、内田クレペリン検査、ベンダー・ゲシュタルト検査があります。
作業検査法の長所は、まず実施が容易で、言語も必要とせず、集団でも実施可能だというところにあります。
結果の分析や解釈が客観的で、主観的バイアスが入り込む余地がほとんどない点も挙げられます。
また、作業が何のために行われるものか一見して分からないため、被検査者の意図的な歪曲が起こりにくく、回答の妥当性が高いという特徴もあります。
一方、短所として、一定の作業からは特定の精神機能や性格傾向のデータしか収集できず、多面的、多層的データを収集することが困難である点、実施方法や分析・評価が複雑な場合が多く、検査者の熟練が要求される点などが挙げられます。
また、単調な作業ゆえ、被検査者に苦痛を与える、作業意欲が結果に大きく影響するといったことも欠点と言えます。
作業検査法の関連キーワード
- 内田クレペリン検査
- ベンダー・ゲシュタルト検査
- 単純作業
- 適性検査
作業検査法の補足ポイント
作業検査法として最も代表的な内田クレペリン検査について、もう少し詳しく確認しておきましょう。
内田クレペリン検査は、クレペリン,E.の精神作業研究をもとに、内田勇三郎が開発した検査です。
一桁の数の単純加算作業を、1行1分とし、5分の休憩を挟んで前半・後半15分ずつ行ってもらいます。
分析・評価は、誤答数をチェックした上で、前半と後半それぞれ各列の作業終了点を線で結び、その形について基準となる定型曲線からのズレの程度との組み合わせによる曲線類型判定と、個別の特徴を分析する個別診断的判定を行います。
定型曲線は、前後半とも最初の列の作業量が最多となり、休憩前の前半より休憩後の後半の作業量の方が多く、前半がU字型もしくはV字型の作業曲線を、後半が右下がりの作業曲線を示します。
作業曲線に影響を及ぼす精神機能の働きとしては、意志緊張・興奮・慣熟・練習効果・疲労の5因子が考えられています。
技術系の就職試験や公務員試験において適性検査として用いられることが多く、また、特に、鉄道や自動車、航空機などの運転操縦への適性が曲線型とよく関連するともされ広く用いられています。
その反面、同じ個人であっても、その時の状況や体調によって統計学的に無視できない大きな誤差が作業曲線に表れることから、同検査には、ほとんど意味がないと述べている研究者もいます。
ベンダー・ゲシュタルト検査は9つの図形を1つず見せて、制限時間を設けないで模写させるテストです。
線が乱れていないかどうか、描写が正確かどうか、といったことから脳障害や知的側面の遅れなどを査定します。