ロジャーズ,C.R.について
ロジャーズ,C.R.(カール・ランソム・ロジャーズ)は、クライエント中心療法を創始したアメリカの心理学者です。
厳格なプロテスタントの両親のもとに生まれ、初めは農学や史学を学び、キリスト教の研究や伝導を行っていました。
その後、職業としては宗教から離れ、コロンビア大学教育学部で子どもの相談について学び、児童相談所で勤務しました。
ロジャーズが臨床を学び、仕事をし始めたころは精神分析が盛んでしたが、ロジャーズは既存の臨床心理学的アプローチだけではうまく行かないケースも多いと感じていました。
ロジャーズは1942年に『カウンセリングとサイコセラピィ』という著作で、自らの考えをまとめ発表しました。
彼は、人間は自分自身の力で成長する力を必ず持っており、クライエントが主体的に生き方を選択できるよう支援するのがカウンセリングの仕事と考えました。
こうしたロジャーズのアプローチは非指示的カウンセリングと呼ばれ、従来の指示的なアプローチが含まれる心理療法との間で論争を起こしました。
ロジャーズは、自己一致、無条件の肯定的配慮、共感的理解の3つがカウンセラーに求められる基本的態度だと考えます。
ロジャーズ,C.R.の関連キーワード
- 非指示的カウンセリング
- 自己一致
- 無条件の肯定的配慮
- 共感的理解
- クライエント中心療法
ロジャーズ,C.R.の補足ポイント
ロジャーズが重視した自己一致、無条件の肯定的配慮、共感的理解を意識することは、日常の対人関係を円滑に進める上でも役立ちそうです。
自分の考えに固執しない、
相手とのやり取りの中でどんなことを感じたかを自分自身できちんと把握する、
他の人の言うことを否定せず関心を持って話を聞く、
相手の立場に立って考える、
適度な距離を保ち、人の心の中に土足で踏み込むようなことはしない。
誰もがこういったことをするよう心掛けていれば、対人関係で悩む人はかなり少なくなるのかもしれませんが、実際にはこれらをすべて実践するのはとても難しいことです。
ですが、この中のいくつかであれば、日々意識することはできるのではないでしょうか?
仕事の同僚と話している時につい相手の仕事のミスが気になり、お節介と思っても注意してなんだか煙たがられてしまうという場合は、相手のミスを指摘するのではなく、その人が苦労したことに共感してただ話を聞くようにすると、お互い心地よい対話ができるかもしれません。
ロジャーズは、先ほど挙げた3つの基本的態度を中心に、クライエント中心療法というカウンセリングのあり方を探求していきました。
彼のカウンセリングに対する姿勢、取り組み方は、クライエント中心療法を専門とするカウンセラーに留まらず、どんな立場のカウンセラーにとっても重要視されています。