自動思考の定義
自動思考は、認知療法における概念の1つです。
認知療法は精神科医のベック,A.T.が提唱した心理療法で、特にうつ病の治療法として有効とされています。
認知療法は認知の歪みに焦点を当て、偏ったものの見方や考え方を修正することで、心理的な問題の解決を図ります。
認知の歪みは2つに分けられ、仮説/スキーマともう1つが今回取り上げる自動思考です。
自動思考は、ふとした時に浮かんでくる考えやイメージのことです。
自動思考は普段は意識されていませんが、注意を向けることで比較的簡単に意識化することができます。
自動思考の関連キーワード
- 認知療法
- ベック,A.T.
- 認知の歪み
- 仮説/スキーマ
自動思考の補足ポイント
自動思考の例をいくつか挙げてみましょう。
例えば、知り合いに話しかけたら素っ気ない返事しか返ってこなかった時に、
「私が何か怒らせてしまったのかもしれない…」
といった考えが浮かんだとします。
怒らせてしまったと思い当たる節が実際にあればこれは合理的な考えですが、そういったことがあっても無くてもこうした考えが浮かんでくる傾向があるとしたら、それが自動思考だと言えるでしょう。
友達にメールをしたのになかなか返信が来ないと、無視されていると思ってイライラする人もいれば、自分が悪いことを言ったのだろうかと不安になる人もいます。
実際には友達は学校や仕事で忙しかっただけだと後になって分かることも多いものです。
気持ちが揺れ動いた時の自分の認知の特徴について振り返ってみると、次に同じような状況が生じても不安になったりしにくくなるかもしれません。
認知療法ではこの自動思考に気づき、自分の認知の特徴について知ることから治療を進めていきます。