メタ認知

メタ認知

メタ認知の定義

メタ認知とは、自分が対象を認知している状態を認知しようとすることです。

ここでいう認知とは、思考、知覚、行為などを指します。

現在進行中の自分の思考や行動そのものを対象化して認識することにより、自分自身の認知行動を把握する能力をメタ認知能力と言います。
このメタ認知能力は、自分の認知行動を正しく知る上で必要な心理的能力です。

また、自己の記憶や記憶過程に対する客観的な認知をメタ記憶と言い、これもメタ認知の重要な要素のひとつとされています。

メタ認知は、問題解決や課題達成を自分自身の力で行うために必要な、計画立案や方略の設定、セルフコントロールやセルフモニタリングに不可欠な要素です。

現在では、多くの教育現場において、メタ認知能力の育成が重要な課題の1つとされています。

メタ認知の関連キーワード

  1. メタ認知能力
  2. メタ記憶
  3. セルフモニタリング
  4. セルフコントロール
  5. 認知療法

メタ認知の補足ポイント

学習場面においては、学習課題にアプローチする方法の計画やモニタリングした認知活動に関する理解、課題遂行状況の評価、課題遂行に関する動機づけなどが、メタ認知的な特徴を持つスキルになります。

広範なメタ認知的スキルを発揮することで、学習や仕事における効率を高めることができます。

また、メタ認知に優れていると、学習の障壁を事前に察知して対処したり、学習の方略やスキルを変更したりすることで、目標を達成しやすくなるのです。

 
実験心理学においては、自身の記憶に関する判断であるセルフモニタリングと、判断を行動に結びつけるセルフコントロールの間のメタ認知に注目した研究が多くなされています。

また、人工知能やモデリングの分野においても、メタ認知研究は行われています。

 
さらに、メタ認知は自らの思考への気づきであることから、心理療法にも利用されています。
例えば、認知療法は情緒障害を思考の障害として認識し、それを修正することにより改善をはかるものです。

 
メタ認知能力と言語能力との結びつきは強いことから、言語能力が未発達である新生児や乳児にはメタ認知能力は備わっていないと考えられています。

メタ認知能力の発達は、5、6歳頃から、いくつかのメタ認知的機能について成人と同様の能力が有されていることが研究により明らかにされています。

MEMO

メタ認知能力が高いと、セルフモニタリングだけではなく、他者の認知についてのモニタリングもより的確に行えるようになります。

他の人と会話をしていて、どうも話が噛み合わないというときがあると思います。
その場合、自分の解釈がずれていたり、他者にはわかりづらい話し方になっていたりしないかをセルフモニタリングすることで、コミュニケーションが改善することがあります。

それと同時に、相手が自分の話をどう理解しているかを客観的に判断することも重要です。

自分と相手とのやり取り自体を俯瞰して見て、どう話すと相手にとって理解しやすいのかということを推測しながらコミュニケーションを図ると、会話が円滑に進むことが多いでしょう。