単純接触効果

単純接触効果

単純接触効果の定義

単純接触効果とは、ある特定の対象にたくさん接すると、接触頻度が多く単に親しみがあるというだけで、その対象に対する好意的な態度が形成される現象のことです。

この現象は、接触する対象がもともとは特に好意を抱くような対象ではないもの(中性刺激)だとしても生じることが知られています。

例えば、たまたま同じ授業を取っていて、話はしないし週1回その授業の時だけ顔を見るという人がいたとします。
最初は特に気にもとめていなかったのが、いつも見ているうちに何となく親しみを感じる人のように思えたりするといったことを指します。

単純接触効果は、1960年代頃からザイアンス,R.B.が行った研究がよく知られており、彼は当初、言語とその接触頻度について研究をしていました。

その後単純接触効果は言語以外にも人間や絵画や漢字、標識、音色、さらには特別な意味の無い言葉のようなものに関しても生じることが明らかになりました。

単純接触効果の関連キーワード

  1. 接触頻度
  2. 中性刺激
  3. 反応競合の減少
  4. 閾下単純接触効果

単純接触効果の補足ポイント

こうした効果が生じる理由としては、反応競合の減少という説が挙げられています。

目新しい刺激に対してはその情報処理をするために労力を要するため、最初のうちは特に良い印象は形成されないと考えられています。

しかし、だんだん刺激に慣れてくると情報処理がスムーズにできるようになって労力がかからなくなるため、接触が増えるごとにその対象を以前より肯定的に認識するようになるのではないかと推測されます。

 
単純接触効果は必ず生じるというわけではなく、全般的に物事に退屈しやすい人は単純接触効果が生じにくいなど、単純接触効果の生じやすさはパーソナリティにより個人差があるようです。

日常私たちが目にするさまざまな広告においても、単純接触効果の影響力を感じることができます。
テレビのCMなどで何度も同じものを目にすると、ついそれが欲しくなってしまうというのは単純接触効果の影響を受けているからと考えられます。

なお、この単純接触効果は接触した対象について本人が気づいていないような場合でも生じることが知られており、これは閾下単純接触効果と呼ばれています。

MEMO

誰か、あるいは何かについて、よく知っているという感覚のことを親近性や熟知性と言います。
毎回同じような形で単純接触を繰り返すよりも、接触するたびに少し変化が見られる方が、親近性が高まりやすいとも言われています。

いつも同じ授業で見かける人が居たとして、その人がいつ見ても無表情でいる場合よりも、時に笑ったり怒ったりしている姿を見かける場合の方が、親近感を抱きやすいものです。

これは、ある人のことを一面的にしか知らないよりも、多面的に理解できた方が親しみを感じられるということに、その理由があるようです。