フラストレーション

フラストレーション

フラストレーションの定義

何かをしたい、何かを得たいと思った時、人は目的を達成するために行動を起こしますが、それが必ずしも常にうまくいくとは限りません。

欲求を充たそうとする行動が妨害され、目的を果たせないでいると人は欲求不満を感じますが、こうした状態は欲求阻止状況と呼ばれます。
フラストレーションとはこうした欲求不満、欲求阻止の総称です。

目的を達成するにあたっての障害は、外的なものと内的なものとの2つがあります。

外的な障害には、法律による規制などの社会的・文化的要因、お金が無くて欲しいものが買えないといった経済的要因や、やりたいことを親が許可してくれないなどの対人的要因があります。

内的な障害には、お店の中では走り回らないといった考えなど、法的に強制されるわけではないものの、個人の中で規定されたルールや配慮などがあります。

フラストレーションの関連キーワード

  1. 欲求不満
  2. 欲求阻止
  3. 内的・外的障害
  4. 代償行動
  5. フラストレーション耐性

フラストレーションの補足ポイント

こうした障害に出くわしてフラストレーションを抱いた時、人はさまざまな反応を示します。

思うようにことが運ばずに怒りが生じると、誰かに八つ当たりをしたり、言葉遣いが荒くなったりすることもあるでしょう。
このような状態では身体面でも緊張し、心拍数も増えてきます。

そうしたフラストレーションが続くと、怒りは収まったとしてもどことなく苛立ちを感じており、周りにピリピリした雰囲気が伝わったりもします。

そんな時は落ち着かず、仕事中に書類を眺めながらもどこか上の空で、机を指で何度も叩くなどの固執行動が見られることもあります。

そしてフラストレーションの状態があまりに続いて、怒りや苛立ちも通り越してしまうと、やる気が出てこなくなり、抑うつ状態、無気力状態になってしまいます。

 
目的達成のための障害があることが分かると、人は何とかその状況に対処しようと試みます。

最も適応的な対処は、障害となるものを回避するなど解決法を探っていくことで、そうやって合理的な対処ができると問題も解決に近づき、フラストレーションを和らげていくことも可能です。

このように冷静な対処ができない、あるいは対処してもうまく行かなかった場合は代わりの目的を設定して代償行動を取ったり、防衛機制を用いて妥協点を見出すことになります。

問題にうまく対処できず、代替策もとれない場合の最も不適応的な反応は、誰かを攻撃する、意味のない行動を繰り返してしまうといったものです。
この場合、フラストレーションは解消されずにさらに募っていくという悪循環に陥ってしまいやすいものです。

フラストレーションが生じた時に感情的にならずに我慢し、自分を律することができる力のことをフラストレーション耐性と言います。

このフラストレーション耐性が高いほど合理的に行動しやすくなります。
耐性の強さは個人差が大きいですが、フラストレーションを乗り越えるスキルを学んだり、実際に克服したりする中で徐々に高められてゆくものでもあります。

MEMO

フロイト, S.は、フラストレーションは心理的な危機状態であり、神経症を引き起こす要因になると考えました。
そして、その危機を回避するための心の仕組みとして、自我機能や防衛機制について考察を深めていきました。

学習心理学においては、ダラード, J.らがフラストレーション-攻撃仮説を提唱し、フラストレーションは攻撃行動を引き起こすものだという考えを述べました。

そうした理論を基に、フラストレーション耐性を測定する検査として、P-Fスタディがローゼンツァイク, S.によって考案されました。