コンサルテーション

コンサルテーション

コンサルテーションの定義

心理臨床におけるコンサルテーションとは、クライエントの心理的問題を援助している他職種の専門家に対して、心理専門職が心理学の観点から助言や提案を行うことです。

そして、クライエントが抱えている問題状況について、異なる専門性を持つ複数人の専門家が協力してその解決に当たる臨床実践活動であり、多職種連携を支える業務とも言え、医療、福祉、教育など地域のさまざまな場面において、心理専門職が行う地域援助の1つになります。
地域援助といっても、コンサルテーションの場合は、心理専門職がケースに対して直接的な支援を行うのではなく、他職種を通して行う間接的な支援となります。

 
コンサルテーションの場面では、相談をする他職種をコンサルティと呼び、相談を受ける側をコンサルタントと呼びます。
コンサルタントとコンサルティの間には、上下関係があるわけではなく、それぞれ異なる職種の専門家であり、コンサルテーションは対等な立場で行われます。

コンサルタントはコンサルティに対して、専門的な助言を行いますが、実際に助言や提案を受け入れるかどうか決めることを始めとして、ケースの責任はコンサルティにあることが特徴です。
また、コンサルテーションでは、あくまでもケースに関する相談に限り、コンサルティの個人的な課題や私的な問題は扱わないのが原則です。
コンサルティが自身の専門性を生かしながら、コンサルテーションで得た助言を活用して、より良い支援を行えるように導くことがコンサルテーションの目的となります。

 
対人援助の場面では、1つのケースに対して種々の専門性を持った異なる職種の人々が関わってチーム援助を行いますが、その中でもコンサルテーションは、地域連携やソーシャルサポートの活性化に寄与する大切な活動であると言えます。

要心理支援者全員に対して、心理専門職がじっくりとカウンセリングを行うことができれば理想的ですが、さまざまな理由で現実的には難しい場合もあります。
しかし、要心理支援者と関わる他の専門家や、家族、友人、学校の教員などの周囲の人たちを心理職がサポートするといった形で、要心理支援者に対する専門的支援を提供することも可能です。

コンサルテーションの関連キーワード

  1. 多職種連携
  2. 地域援助
  3. コンサルティ
  4. コンサルタント
  5. コンサルテーション・リエゾン精神医学

コンサルテーションの補足ポイント

心理的支援におけるコンサルテーション業務の始まりは、1930年代後半のアメリカの医療分野に遡ります。
精神科医や心理職を含む精神科領域の医療専門家が、それ以外の診療科のスタッフに対して、患者の精神医学的・心理学的問題について相談に応じることをコンサルテーション・リエゾン精神医学と呼び始めたのです。

リエゾンとは、フランス語で単語と単語とを滑らかにつないで発音するといった意味を持つ言葉ですが、ここから連携するという意味が派生して、身体疾患を持つ患者を、その担当診療科と精神科とが連携して治療する言葉として用いられるようになりました。
そして、1970年代前半にはコンサルテーション・リエゾン精神医学が概念としてしっかりと整理され、1970年代後半には日本にこの考えが紹介されました。

現在では多職種連携によるチーム医療が重視されていることとも相まって、総合病院の精神科所属のスタッフが、他科のスタッフを支援する活動が定着してきています。

医療領域におけるコンサルテーションで受ける相談内容としては、身体疾患に関係する反応性の心理・行動面の変化や器質性精神障害、身体疾患を合併した精神疾患、身体症状を訴えるもののその症状に対応する身体疾患がない状態、心身症に関することなどが挙げられます。

 
総合病院でのコンサルテーションの例としては、がんの治療を受けている患者に抑うつ症状が見られたときに、腫瘍科の医師や看護師が、その患者が示す抑うつ症状への対応について精神科医や心理職に相談するといったことが挙げられます。

医療場面では、周囲の人に怒りをぶつけたり、否定的な感情を繰り返し語ったりする患者もおり、医療スタッフがどのように接したらよいか迷う場面に遭遇することもあります。
そのようなときは、精神医療の専門家として、また、患者の支援に直接関与していない中立的な立場の者として、コンサルテーションによる間接的支援を行うことが有益です。

 
コンサルテーションを受けて、実際に患者にどのように接するのか、相談内容を治療計画にどのように盛り込んでいくのかといったことは、担当診療科のチーム内で相談して決めていきます。

コンサルタントが対応を指示するのではなく、助言に基づいてコンサルティが対応を考えていくことで、コンサルティが問題を解決・予防する能力を高められるように促すことも、コンサルテーションの目的の1つです。

MEMO

コンサルテーション・リエゾン精神医学は、コンサルテーションという相談の部分とリエゾンという連携の部分との両方を含む概念です。
相談と連携は、医療に限らず教育、産業といった他のどのような場面でも重要となります。

教育場面では、スクールカウンセラーが教職員の専門性を尊重しながら、心理的側面についての専門的助言を行うことが重要です。
また、教員同士の連携が促進されるような働きかけを行ったり、教員と児童生徒・保護者との関係をうまく維持できるような調整を行ったりすることも、スクールカウンセラーには求められています。