心身症の定義
心身症とは、身体症状を主としながらも、その診断および治療に心理面からの配慮を特に必要とする病態です。
日本心身医学会によれば、「身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態」と定義されています。
心理社会的因子とは、例えば、持続的な緊張、ストレスなどを指します。
代表的な心身症としては、心理社会的なストレスが原因で発症した過敏性腸症候群や胃潰瘍、アトピー性皮膚炎、偏頭痛、気管支喘息など、実にさまざまなものが挙げられます。
これらの疾患は心身症としての要素をもっていることがありますが、だからといって、これらの疾患に罹患している患者のすべてが心身症であるというわけではありません。
検査でも実際に異常を認めることが多い身体疾患であるため、身体的ケアは必要ですが、心身症の場合には、同時に精神的ケアも不可欠です。
そのため、身体症状の訴えでありながらも、心身症は心療内科の主な治療対象となるのです。
心身症の関連キーワード
- 心理社会的因子
- シフネオス,P.E.
- アレキシサイミア
- 心身医学
- 心身相関
心身症の補足ポイント
心身症患者は、感情を言葉で表現することが苦手な人が多く、自分の感情よりは、むしろ外面的な出来事について述べる傾向があります。
そのため、抱えきれない葛藤などが身体症状として表現されてしまうのです。
シフネオス,P.E.は、心身症患者の人格特徴を示す概念としてアレキシサイミアを提唱しました。
アレキシサイミアは「失感情症」と訳されます。想像力や空想力の欠如、感情の言語化困難、機械的思考などがアレキシサイミアの特徴です。
さて、こうした心身症を治療する主な科は前述の通り心療内科ですが、心身症を対象とする医学分野を心身医学と言います。
心身医学は、ストレスや心身相関、さらに、患者の身体面だけでなく、心理面や社会面まで含め、総合的に見ていくことを特徴とする学問です。
心身相関とは心と体が互いに密接な関係にあって、心の動きは何らかの身体的変化を引き起こし、また逆に、身体的変化は何らかの心理的変化を引き起こす現象を示す語句です。
これが、心身症の持続や増悪のメカニズムの1つとして挙げられています。
従来、心身医学は、いわゆる心身症や神経症を対象としてきました。
しかし近年、末期がん患者、あるいは集中監視装置など患者の行動を拘束するような治療、あるいは心臓手術やぺースメーカーの移植など、患者に著しい不安を与える手術の場合も心身医学としての配慮が必要となり、すべての臨床医学の基盤になる医学であるとされるようになってきています。
交感神経と副交感神経のバランスが崩れてストレス状態が持続すると、心身症になりやすいと言われています。
心身症の主な症状としては、胃潰瘍、円形脱毛症、偏頭痛、不眠などが挙げられます。