性的倒錯の定義
性的倒錯とは性行動の質的異常と定義され、性嗜好異常とも呼ばれるものです。
近年ではパラフィリアという呼称も多く用いられています。
性に関する障害についての精神医学的な捉え方は、時代とともに大きく変化してきています。
国際的な診断基準の1つであるDSMを見ていくと、DSM-IやII(1950年代~)ではパーソナリティ障害の一部として位置づけられていました。
しかしDSM-III(1980年代~)ではパラフィリアと名称が変わっており、概念自体が変遷していることが分かります。
性的倒錯の種類としては、露出症、窃視症、小児愛、性的サディズム・性的マゾヒズム、フェティシズム、服装倒錯的フェティシズムなどが挙げられます。
性的倒錯の関連キーワード
- 露出症
- 窃視症
- 小児愛
- 性的サディズム・性的マゾヒズム
- フェティシズム
- 服装倒錯的フェティシズム
性的倒錯の補足ポイント
露出症は、自分の身体を他人に見せて性的快感を得るものです。
男性に多く、特に自分の性器を女性に見せて満足を得ようとするものが多いです。
窃視症も男性に多く見られるもので、他人の裸や性行為などを相手の承諾なしに覗き見ることで性的快感を得るものです。
小児愛は思春期前の子どもに対して性的魅力を感じるものです。
子どもの中でも特定の年代だけに関心を向けることが多いとされます。
サディズム・マゾヒズムはいずれもクラフト-エビング, R. vonが命名したものです。
相手に苦痛を与えることで性的な快感を得るのが性的サディズムで、逆に辱められる、苦痛を与えられるなどによって性的な快感を得るのが性的マゾヒズムです。
フェティシズムは、対象人物全体ではなく、特定の対象物自体が性愛の対象となります。
対象となるのはハイヒールや異性の下着であったり、足など身体の一部であったりします。
服装倒錯的フェティシズムは異性の服装をすることを好むものです。
これは性的刺激を求めて行う場合もありますが、単に異性装をすること自体が落ち着くからといった理由で行う場合もあります。
なお異性の服を着たいと思うだけで性別自体を変えたいとは思わないことも多く、これは性同一性障害とは別物とされます。
同性愛は、性対象の異常として以前は性的倒錯の一種に分類されていましたが、近年では同性愛は異常なものではないとする考えが一般的となっています。
そうした流れを受けて、同性愛は治療の対象になるものではないと考えられるようになり、DSMやICDといった国際診断基準からは、疾患名としての同性愛の記載は削除されています。
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