劣等感と優越感

劣等感と優越感

劣等感と優越感の定義

劣等感とは、自分に関連する事柄について、自分が他者よりも劣っているという感覚のことです。
逆に優越感とは、他者よりも自分が優れているという感覚を指します。

具体的な事柄としては、たとえば能力、体力、容姿、年収、社会的地位、パーソナリティに関することなどが挙げられます。

 
劣等感・優越感は、客観的に見て実際に劣っている、優れているということではなく、本人が主観的にそう感じることによって生じます。

優越感の背後には、権力を持ちたい、称賛されたいなどの欲求が背景にあることが多いとされます。
優越感を抱くことが多い人は、普段は自信があり、時には他の人を批判的に捉えたりすることもあります。

 
しかし優越感は劣等感の裏返しの場合もあり、ふとしたきっかけで自信を失って劣等感の方が強くなってしまうことも多いものです。

劣等感については特に劣等コンプレックスと呼ぶことがあります。
コンプレックスとは精神分析などの深層心理学における概念で、無意識のうちにあり、自我を脅かすような内容が複雑に絡み合ったものと定義されます。
これは様々な感情が入り混じって形成されており、普段は無意識に抑圧されています。

劣等感と優越感の関連キーワード

  1. 劣等コンプレックス
  2. コンプレックス
  3. アドラー,A.
  4. 器官劣等性

劣等感と優越感の補足ポイント

劣等感と優越感の具体例を見てみましょう。

劣等感が強い人は、

「同期入社の人はみんな昇進したのに自分だけまだだ(俺がダメだからだ)」
「私はなんの勉強をしてもいつも身に付かない」などです。

具体的な誰かをイメージしていることもあれば、そうでないこともあります。

 
優越感が強い人については、

「私は友達と違って授業を聞けば予習復習をしなくてもテストでいい点が取れる」

などの例が挙げられるでしょう。

 
劣等感を抱くと落ち込んでしまいますが、それを克服したり、違う面を伸ばしたりすることにエネルギーを使えば、才能を開花させるきっかけになるかもしれません。
優越感はほどほどであれば自信につながります。

ちなみに前述の通り、これらは主観的な感覚なので、本人は劣等感を抱いていても、実際にはとても高い能力を持っているといったこともよくあることです。

MEMO

アドラー,A.は、小さい子どもが生活する上で困難を覚えるような身体的障害を器官劣等性と呼びました。
例えば足が不自由な子どもは、足に器官劣等性があると考えます。

こうした子どもには、足がもっと動くように努力する、足ではなく手が器用に使えるように努める、または自分で頑張ることは一切諦めるといった選択肢があると考えられます。

そこで選択したことがその後のパーソナリティ形成に大きな影響を及ぼし、その後の生き方も変わってくるとアドラーは考えました。

アドラーは、パーソナリティは生まれつき決まるのではないと考えました。
遺伝や環境は自分で選べないとしても、それに対して自分自身がどう向き合い、意志決定をしていくかによって、劣等感を強く抱いたままになるのか、克服していけるのかが変わると、すなわちパーソナリティやライフスタイルが変わっていくと考えたのです。