森田療法の定義
森田療法は、森田正馬が開発した日本独自の心理療法です。
森田正馬は、心気症的傾向を中心とする神経症を概念化し、森田神経質と呼びました。
この森田神経質という神経症症状の背景には、クライエントの「より良く完璧に生きたい」という生の欲望の強さ、および、心気症的性格(ヒポコンドリー気質)があると考えられています。
この心気症的性格のために、心身のちょっとした違和感に精神を集中してしまい、より一層、その違和感が高まる精神交互作用という悪循環が生じます。
そうした悪循環が生の欲望を低下させることとなり、結果、神経症症状やうつ病へと至るのです。
森田療法では、クライエントが持つとらわれやこだわりから脱却することを目的とし、入院措置により「絶対安静」と「作業」という段階的介入を行います。
具体的には、「絶対臥褥期」「軽作業期」「重作業期」「生活適応期」の4つの段階的介入により、心気症を中心とした神経症やうつ病を治療していきます。
森田療法の関連キーワード
- 森田正馬
- 森田神経質
- 生の欲望
- 心気症的性格(ヒポコンドリー基調)
- 精神交互作用
森田療法の補足ポイント
森田療法の4つの段階的介入について確認していきましょう。
絶対臥褥期には、クライエントには、1週間程度、生理的現象が生じたとき以外はベッドに横になってもらい、自分が抱える違和感や不安感とともにいる状態に慣れるようにします。
絶対臥褥期において、違和感や不安感とともにいても混乱せずにいられ、何かしら行動を起こしたいという欲求が生じ始めたら、「軽作業期」に入ります。
軽作業期には、臥褥時間は7~8時間にし、1週間程度、対人的交流を持たない1人で行う精神作業をさせ、あわせて日記療法も開始します。
軽作業期の間に、違和感や不安感が気にならず、一層の活動性が高まったら、重作業期に入ります。
重作業期には、1週間程度、肉体労働をさせて、日記療法も並行して続けます。
睡眠時間以外は絶えず何かをしている生活をさせ、読書や趣味なども自由に行うことができます。
重作業期をしても落ち着いた状態を保てるようになったら、生活適応期の段階です。
入院場所から日常生活場面に通うようにし、徐々にとらわれやこだわりに影響されることなく日常生活が送れるようにしていきます。
森田療法では、不安に逆らわず、不安を「あるがまま」に受け入れて、生の欲望に従って行動することを体得させていくことを重視するのです。
なお、森田正馬は薬を使いませんでしたが、現代では薬を用いることも多いようです。
また、上記のように、基本的に入院による措置がとられていましたが、現在は軽度の人は通院による治療が中心となっています。
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