マインドフルネス

マインドフルネス

マインドフルネスの定義

マインドフルネスは、カバットジン,J.によって提唱された心理的プロセスで、「注意集中」とも言い換えることができます。

心の動きに惑わされることなく、刻一刻と変化する内的状態を冷静に観察することを言います。
そうすることにより、集中力が増強され、物事に対する考え方や行動が変わり、脳の働きと構造にも影響を及ぼすことが示唆されています。
これは、日本の座禅の思想にも通ずるものがあります。

 
マインドフルネス瞑想法マインドフルネスストレス低減法は、近年、ストレス軽減やうつ病の再発予防、摂食障害などの臨床場面においても効果が認められてきています。
さらには、癌やエイズ、心臓疾患の患者の治療効果を高めるためにも用いられています。

中でも、マインドフルネス瞑想法は、日常においても取り入れやすい実践の1つと言えるでしょう。
それまではまったく意識を向けることがなかったような、一つ一つの瞬間に完全に注意を集中させるトレーニングとなります。

例えば、今このページを読んでいるあなたは、カップラーメンができ上がる良い香りに心を奪われ、心ここにあらずの状態であるかもしれません。
それにもかかわらず、それを食べている間は、テレビのニュースに気を取られ、どんな味だったかもあまり覚えていないかもしれません。
人はある瞬間を生きながらも、ほとんどの時間、過去や未来に思いを馳せることで、その時々に意識を向けることができていないのです。

 
マインドフルネス瞑想法のトレーニングの1つに、「食べる瞑想」というものがあります。
一日を通して何度も経験するであろう「食べる」という行為ですが、食べ物をどのように咀嚼しているのか、その食べ物がどういった触感だったか、どのように舌の上でほぐれていったか、などと意識したことはあまりないでしょう。

トレーニングでは、一粒のレーズンに触れ、観察するところから始めます。
そして、その重さや肌触り、唾液の溢れ出る感覚、舌に当たるレーズンのしわの感覚など、すべてを観察し、味わい切ります。
このように今の状況にあえて意識を向けてみることで、自分が置かれたその場所で、その瞬間を精一杯に生きるということにつながるのです。

マインドフルネスの関連キーワード

  1. カバットジン,J.
  2. マインドフルネス瞑想法
  3. マインドフルネスストレス低減法

マインドフルネスの補足ポイント

マインドフル瞑想は、目覚めているすべての瞬間を意識的に過ごすためのものであり、少し近所に出かけるときにも、お茶を淹れているときにも、食事をするときにも、意識すれば行うことができます。

マインドフル瞑想の1つである歩行瞑想では、普段より歩く速度を少し緩めるだけで、指先に力が入る感覚や、片足に体重がかかる感覚、それとともに反対の足が浮き上がる感覚など、今まで気づくことがなかった細かな動きや感覚を捉えることができるようになります。

毎日行っているような動作でも、意識を向けられていなければ、身体に生じているや変化や感覚すら未知なままなのです。
人に見られていると上手く物事をこなせない、ということがありますが、これも、日頃からいかに体の使い方を意識できていないかの一例になるでしょう。

 
新型コロナウイルスが蔓延する中で、夜間や休日の外出を控えるよう求められており、家で過ごす時間が多くなったかもしれません。
会社に行かずともオンラインで職場とつながることもできますが、普段と異なる環境の中で、集中力が思うように発揮できないこともあるでしょう。
さらに、テレビやインターネットの情報はときに不安をあおり、気づかぬうちにストレスにさらされることも少なくありません。

そこで、不安解消やストレス低減、さらには集中力の向上にも効果があるとされるマインドフルネスを、日々のルーティンの中に取り入れてみてはどうでしょうか。
「現在」を味わい尽くすことで、それまでと同様の動作を、より実りある、豊かなものへと変えることができるのです。
自動操縦状態に陥っている動作に変化をもたらすことで、自分自身とより深く向き合うきっかけになるかもしれません。

MEMO

日常における行動のすべてがマインドフルネスのトレーニングになり得ます。
しかし、運動も、過度なものは筋肉痛を生じたり、適温の中で行わなければ心臓に負担がかかることがあります。
マインドフルネスも運動と同様、治療として取り入れるためには優良なトレーナーの存在が欠かせません。