交流分析の定義
交流分析は、バーン,E.によって開発された、人間関係に関する理論体系と、それに基づく心理療法です。
「構造分析」「交流パターン分析」「ゲーム分析」「脚本分析」という4つのプログラムで構成されます。
構造分析は、無意識の存在を仮定せず、「今、ここ」で表現されている自我状態、パーソナリティの特徴を分析します。
交流パターン分析は、コミュニケーションの様子をベクトルを用いて分析します。
ゲーム分析は、交流パターンの中で問題や悪循環を生じさせているパターンを、「ゲーム」として特定するものです。
最後に、脚本分析とは、ゲームの背景にある人生や生活の規範的な語り口を特定し、修正するためのものです。
交流分析の目的は、「私もOK。あなたもOK」という命題に表わされるように、自己受容と他者受容の両方を達成することで、より主体的で積極的な人間関係と生活スタイルを構築していき、対人関係の問題を克服することにあります。
交流分析の関連キーワード
- バーン,E.
- 構造分析
- 交流パターン分析
- ゲーム分析
- 脚本分析
- エコグラム
- ストローク
交流分析の補足ポイント
交流分析は、心の構造や機能を記号や図式を使って分かりやすく説明するところに特徴があります。
構造分析について、少し詳しくみていきましょう。
構造分析では、基本的に、自我状態をP(Parent;親)、A(Adult;大人)、C(Child;子ども)という3つに分けて考えます。
Pは精神分析の超自我に当たり、相手に対して規範的・道徳的に振る舞う部分、Aは精神分析の自我に当たり、現実の状況に合わせて冷静に客観的に振る舞う部分、Cは精神分析のイドに当たり、欲求や衝動などの表現を示しています。
Pはさらに、他者に対し権威的なCP(Critical Parent:批判的親)と、他者に対し共感的受容的なNP(Nurturing Parent:養育的親)とに分けられ、また、Cは周囲を気にすることなく自由に表現するFC(Free Child:自由な子ども)と、自分の欲求や衝動を抑制し周囲に合わせるAC(Adapted Child;順応的な子ども)とに分けられます。
これら5つの高低の組み合わせにより、クライエントの自我状態が分析されるわけですが、その際に用いられるのがエゴグラムと呼ばれる心理検査なのです。
また、交流分析において重要な概念であるストロークについても確認しておきましょう。
ストロークとは、交流パターンを構成する要素で、相手への言語的・非言語的な働きかけを表します。
コミュニケーション場面において、相手に承認の言葉を与えたり愛着を示したりするような肯定的な言葉かけ、態度で接するとき「肯定的ストローク」、相手に対し批判したり冷笑したりといった否定的な言葉かけ、態度で接するとき「否定的ストローク」と呼びます。
交流パターン分析では、どのようなストロークが実際の交流パターンとしてどのように作用しているのかを分析していきます。
さらに、ゲーム分析において、相手に何かしらの情緒的影響を与えるストロークの受け取り方を特定し、悪循環を断ち切るため修正を図っていくのです。
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