同化と調節

同化と調節

同化と調節の定義

人には、外界の物事を認識する際に用いる共通の認知機能が備わっているとピアジェ,J.は考えました。

認識する対象が何か、認識をする人自身がそれまでにどんな知識を持っているかということにかかわらず、そうした共通の認知機能が働くと想定したのです。

同化と調節はもともと生物全般に関する概念ですが、ピアジェはこれを人の認知機能にもあてはめました。

ピアジェの理論で言う同化と調節は、外界への適応に関する認知機能の1つと位置づけられています。

ピアジェは同化と調節以外にも、認知発達に関する多くの概念を研究しています。

子どもの認知機能は少しずつ発達していきますが、その発達の程度を4つの段階に分類することができると考えました。
これはピアジェの発達段階説と呼ばれています。

同化と調節の関連キーワード

  1. ピアジェ,J.
  2. 認知発達
  3. 発達段階説
  4. シェマ
  5. 均衡化

同化と調節の補足ポイント

同化とは、自分以外のもの(対象や環境と言います)を自分の中に取りこむ働きで、その際には対象を取り込みやすいように変化させます。

調節とは、対象に合わせて自分の方を変えて、対象を取り込みやすくする働きです。

なお同化と調節を行う人(主体)が、その時点ですでに持っている知識の枠組みのことをシェマと呼びます。

 
例を挙げて同化と調節について考えてみましょう。
それまでパソコンを日常的に使っていた人がパソコンを買い替えたとします。

その中に知らないアプリケーションが入っていたとしても、今まで使ってきたものと極端に違うものでなければ、既存の知識(シェマ)の中で大概は理解ができるものです。

その場合は既存知識への取り込み、同化が行われたということになります。

しかし、パソコンを買い替えた時にそれまでのパソコンとは使い勝手が劇的に異なる場合、自分が知っているものとはある意味別ものと捉えて新しい存在に適応していかなければならなくなります。
その場合は、既存知識の枠組みを修正し、調整を行うことになります。

 
同化と調節は必ずしも別々に機能するわけではありません。

何かを食べようとした時に、大きなものは包丁で切り分け、熱いスープは少し冷ましてから飲むなどして対象を適宜同化します。

それと同時に、食べようと思った食材が思ったよりものどに引っかかるという時は、無理にかきこまずにゆっくり噛んで飲み込むよう調節します。

また、こうした同化と調節がバランスよく行われるようになることは均衡化と呼ばれています。
発達に伴い均衡化も適切に行われるようになり、認知機能のバランスが良好になっていきます。

MEMO

子どもは、ごっこ遊びをしたり、周囲の大人の言動を模倣したりすることがあります。

ごっこ遊びは、例えば自分が憧れるヒーローやお姫様になりきる遊びであり、主に同化を用いています。

その一方で、模倣は他者の行動を見るなどして、自分も同じようにやってみることです。
つまり、外界の情報を取り入れて、そこに自分のシェマを合わせる調節を主に用いています。