状態不安・特性不安の定義
不安とは、自分にとって何か悪いことが起きるのではないかと感じることによって生じる漠然とした気分のことです。
不安の対象が特定され、不安がとても高まると恐怖という気分になります。
不安は、状態不安と特性不安という2つに分けることができます。
状態不安は、ある特定の時点や場面で感じている不安のことを指します。
ストレスが強いほど、またストレスに長時間さらされているほど、状態不安は高まります。
特性不安は、状態不安のように一時的に感じている不安ではなく、その人の性格などに由来する不安になりやすい傾向のことを指します。
そのため特性不安は比較的安定しており、また個人差によっても変化します。
特性不安が高い人というのは、何らかのストレスがかかると比較的不安になりやすい人ということになります。
したがって、特性不安が低い人に比べると、さまざまな状況下で状態不安が生じることが多いのです。
試験前は誰でも不安になりますが、特性不安の高い人の方がより不安が喚起されやすいと考えられます。
状態不安・特性不安の関連キーワード
- 漠然とした気分
- ストレス
- 顕在性不安尺度(MAS)
- STAI(State-Trait Anxiety Inventory)
- テスト不安質問紙(TAQ)
状態不安・特性不安の補足ポイント
特性不安を測定する尺度としては、顕在性不安尺度(MAS)やSTAI(State-Trait Anxiety Inventory)という質問紙がよく使われます。
顕在性不安尺度(MAS)は、テーラー,J.が作成したもので、MMPIという質問紙の中から不安に関する項目を抽出して作成したものです。
これは一般的な不安を測定する尺度としてよく用いられるようになりましたが、状態不安を測定するためには作られていませんでした。
その後、スピルバーガー,C.D.らは、特性不安だけではなく、状態不安も測定する必要があると考え、STAIを作成しました。
STAIは状態不安用の尺度と特性不安用の尺度が用意されており、基本的に同じ項目(質問)が用いられているのですが、状態不安用の尺度では「たったいま」の自分の状態についての回答を求められ、特性不安用の尺度では「普段の自分」についての回答を求められるという違いがあります。
STAIを受ける人は、それぞれの尺度で求められている内容について、どの程度当てはまるかを4件法、つまり「まったくあてはまらない」から「非常によくあてはまる」までの4段階で判断して答えていきます。
その他の特定場面に焦点を当てた不安尺度としては、テスト不安を測定するための尺度であるテスト不安質問紙(TAQ)などがあります。
面接やオーディションなど、大事な場面で緊張し不安になるのは、状態不安の方ですね。その時だけの不安であり、場面が変われば変化する可能性があるからです。
一方で、特性不安の人は慢性的な不安傾向があるので、生活習慣的に不安を感じている人が多いのです。