ゲシュタルト療法

ゲシュタルト療法

ゲシュタルト療法の定義

ゲシュタルト療法は、精神科医パールズ,F.S.によって開発された、心理療法です。

「ゲシュタルト」とは、ドイツ語で「形態としての全体性、統合性」という意味を指します。

伝統的な心理療法が、心理的問題の原因を過去に求めるのに対し、ゲシュタルト療法は、未完結な問題などの再体験を通じて「今、ここ」での気づきや自己の全体性の回復を重視するのが特徴です。

「エンプティ・チェア」「ドリームワーク」「ロールプレイ」などといったさまざまな技法を用いて、自発的な感情や自己への気づきを喚起していきます。

そうして、自己理解、自己受容、他者理解、他者受容を導き、不適応や心理的問題を解決していくのです。

 
セラピストは基本的に分析や解釈はしません。
クライエントが自分への気づきを深められるよう、安全で信頼できる場を提供するのが、ゲシュタルト療法におけるセラピストの役割となります。

ゲシュタルト療法の関連キーワード

  1. パールズ,F.S.
  2. 未完結な問題の再体験
  3. 「今、ここ」
  4. 全体性
  5. 図と地
  6. エンプティ・チェア
  7. ドリームワーク
  8. ロールプレイ
  9. ボディワーク

ゲシュタルト療法の補足ポイント

ゲシュタルト心理学において有名な「図と地」という枠組みが、ゲシュタルト療法においても重要な概念となります。

ゲシュタルト療法では、クライエントの問題を生じさせている衝動・欲求・感情行動を「図」、その背景にあるクライエント個人の内的状態の全体性や対人的相互行為の全体性を「地」と捉えます。

そして、図と地の関係性が1つのパターンに凝り固まり、柔軟な反転や入れ替えができなくなると、不適応や心理的問題が生じると考えます。
そこで、スムーズに反転や入れ替えができるようにするために、問題が生じている現象的な場の行動を、さまざまな技法により再現し、再体験させていくのです。

 
では、ゲシュタルト療法における代表的な技法を見ていきましょう。

エンプティ・チェアは「椅子技法」「チェアテクニック」とも呼ばれます。

これは、誰も座っていない空の椅子に、クライエントが何かを伝えたいと思っている人物が座っていると仮定し、これまでに伝えられていない意見や感情を伝えてもらう技法です。

また、2つの椅子を行き来してもらい、相手との対話を両者の立場から行わせるといったこともします。

 
ドリームワークは、夢を、その人の生活や人生において必要不可欠な欲求や目的を伝えるメッセージであると捉え、夢で表現された内容を言語的・行動的に表現していくことで、夢のメッセージへの気づきを促していく方法です。

 
ロールプレイは、例えば、現実ではできないことをできている自分を演じてもらったり、クライエントにとって重要な他者になりきってもらうことで、問題の解決を図る技法です。

ゲシュタルト療法には、これ以外にもさまざまな技法があるので、確認しておきましょう。

MEMO

ゲシュタルト療法には、ファンタジー・トリップやボディワークという技法もあります。

ファンタジー・トリップは、クライエントがセラピストの誘導で空想の世界に入り、現実では難しい対話や体験をイメージの中で行います。
そうすることで、内面の欲求や未解決の感情に気づく技法です。

ボディワークでは、自分の身体の一部に意識を集中し、その部分がどのように感じているかを言語化します。
自分の身体の動きや感覚の変化を感じながら、感情や自己表現を促進することで、身体の緊張に気づくことなどを目指します。